2007.03.06 第1回「オメキメレ、アンフィールド」

 結果は少し残念だったが、開幕戦は面白かった。第三者的には、互いにアグレッシブで、90分の間にゲームの流れが何度となく両チーム間を行き来するという、サッカー観戦の醍醐味を味わえたこと。そして、我がチーム的には、注目された新加入選手が多く出場し、またその彼らが概ね期待通りの活躍を見せてくれたことである。深井は少しトラップが流れがちだったが、それでも一瞬の切り返しでシュートゾーンを作り出す動きはさすがであったし、千代反田、永田の両CBは強さと安定感を感じさせた。そして、坂本。過去、新潟のサイドバックであそこまで深くえぐって正確なセンタリングをあげられる選手がいただろうか。もちろん、センタリングだけでなく、貴章へのくさびのボールもグラウンダーでビシバシ入る。むろん、1試合見ただけで、彼らの全てを見切ったと思うほど愚かではないが(逆の結果でもしかりである)、今週末のホーム開幕に向けて、より期待感が高まったのは間違いない。早く、この目で動く彼らを見たいものだ。
 先日、去年まで新潟の選手だったある人と話をする機会があったが、彼が言うには、キャンプ地からそのまま開幕戦に臨むと、どうも、キャンプの延長、ややもすれば練習試合の錯覚に陥りがちで、なかなか本番への切り替えが難しかったという。あわわ、あわわしているうちに試合が終わっていたとか(宮川大助か)。その点、地元で最終調整をし、遠征メンバーで敵地へ移動するというルーティンワークの出来た今シーズンは、平常心で臨めたはず。今までこんな当たり前のことが出来なかったんだよな。

 さて、シーズンの始まりを告げるリーグがある一方で、僕にとって終わりを告げようとしているリーグもある。僕の愛するFCバルセロナは、昨年のアルビレックスを見ているかのような勝負弱さをみせ、明朝にも欧州チャンピオンズリーグの舞台にアディオスを告げそうだ。厳しいゲームで勝ち点3を拾えず、大一番もことごとく落とす。特に先制しても、逃げ切れない試合のなんと多いことか。これでは、勝利の女神も微笑みようがない。敵地アンフィールド(リヴァプールFCのホーム)に神風が吹く可能性もなくはないが、それよりも、僕がスカパー!のチャンピオンズリーグセットを解約する可能性の方が高いだろう。妻とリヴァプール市民は喜ぶが、僕は悲しい。
 一方、こちらのチャンピオンズリーグはどうだろう。明日から始まるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)に、いよいよ浦和レッズと川崎フロンターレが登場する。これまで、知名度という点で、「欧州」に大きく後れを取っていた「アジア」のチャンピオンズリーグであるが、レッズの参加で、こちらのリーグの注目、ステイタスも一気に高まりそうである。
 リーグのライバルチームに対して、素直に声援を送ることは出来た大人でもなかなか難しいことだが、ACLの舞台では間違いなくこの2チームに声援を送るだろう。クラブレベルで唯一、世界へ繋がる大会だというのに、日本は未だにこのリーグを勝ち抜いたことがない。日本人のプライドと、Jのクラブが欧州や南米のチャンピオンと公式戦で戦うシーンが見たいという欲求。実際勝ちぬけるかは時の運もあるが、とりわけレッズが、この大会に相応しい格と陣容を誇っていることに異論を挟む者は少ないだろう。形だけでないダブルチームが組める選手層の厚さ。そして、一昨年、チャンピオンシップを埼スタで見て、身をもって感じたクラブ、それを取り巻く環境のスケールの大きさ。例えば、6万人の人文字である。実行力もさることながら、いったいその予算がどこから出てくるのか(笑)。そういえば、オフシーズンに、新潟の営業の人と、究極のオフィシャルグッズとして、(利益の大きい)アルビレックスタウンの開発、分譲、すなわち不動産の販売だね、という冗談を飛ばしていたが、今回なんと、レッズスタイルなる住宅を販売してしまった。総合商社かっちゅーの。

 ということで、フロンターレももちろんのこと、特にレッズには明日の戦いを全力で挑んで欲しい。いいか、毎日がトーナメント。明日の試合で負けたらもう次はないと思え。この試合で燃え尽きても俺は責めないぞ。君達は日本を代表しているのだから。合い言葉は「リメンバー・ドイツワールドカップ」。惜しむらくは、どうしてホームの試合なんだろう。ここで期待したのがシドニーFCとのアウェイ戦だったのに(笑)。

 よし、今日は記念すべき第1回目なので、大胆予想をします。明朝の欧州チャンピオンズリーグで、バルセロナが勝ち抜けると、11日のレッズ戦では、貴章がオメキメレキショーを鼻歌で歌いながら、ハットトリックを決めます。今、何かが降りてきて僕に耳打ちしました。アンフィールドと東北電力ビッグスワンスタジアムが、その瞬間繋がるんだな。分かる人は分かるでしょう。僕にとって、今週は二つの「レッズ」がターゲットです。おぉ、なんか気合いが入ってきた。明日の試合、もう、僕の目にはエトーが貴章にしか見えません。

2007年3月6日 19時26分

PROFILE of 浅妻 信(あさつま まこと)
1968年生まれ。新潟市出身。新潟高校卒業後、関西で長い学生時代を過ごす。アルビレックスとの出会いは99年のJ2リーグ開幕戦から。以来、サッカーの魅力にとりつかれ、現在に至る。2002年、サポーターのみでゼロから作り上げたサポーターズCD「FEEEVER!!」をプロデュースして話題に。現在もラジオのコメンテーターだけでなく、自ら代表を務める新潟県社会人リーグ所属ASジャミネイロの現役選手としてフィールドに立つなど多方面で活躍中。