1999.08.19 第22節 MatchReport 新潟×甲府

1999年8月19日(木)19:00キックオフ
於 新潟市陸上競技場
アルビレックス新潟 対 ヴァンフォーレ甲府 △ 1-1

 
 平日にしては客の入りも良い。久々に早めにスタジアム入りして知り合いと会話を楽しむ。どんよりとした雲の切れ目からときおり見える雷もイキな演出だと思っていた。このころはまだ冷静だった。

 久々にスタメン発表が見れる。30分前には着こうとこころがけながら遅刻が多い。はじめる前にちょっとウワサを聞きつけ、サウロが出場しないことを知り、軽くガックリ。今日は必要になると思うのに。

 スタメンは前節とかわらず。まあ、首位に勝ったわけだから変える必要はないと考えるのが普通。でもなあ。心配だな。あの甲府の速い攻めはアルビにとって天敵。なまじ6ー1の記憶があるだけにわすれがちだけど、J2の9チームのうち、1番失点が多いのは甲府なんだよな。

 とにかくオフサイドをほとんどとらないことからも分かるとおり、セルジオを筆頭に足の速いDFがいないんだよな。ひょっとしたら柴をあたまからつかわないかなと軽く期待していたのに。

 そして雷がますますひどくなり、ゴール裏から見ると右から左からと壮大な眺め。これはなかなか見られるものじゃない。でもまだ雨は降らない。
今日の天気は観客に優しい。

 主審の笛がなり、キックオフ。いつも通り前半はあっち甲府ゴール裏に攻めるアルビ。しかしもういつも通りというべきなのか、全員足が重い。前半はおさえめと言えば聞こえがいいが、エンジンがかかるまでが遅い。またこのエンジンは点取らないとかからないんだよな。

 ボールキープ率は甲府の方が上。しかしアルビがFKのチャンス。甲府の選手に警告。よしチャンスだ。しかしなかなか甲府の選手がポイントから離れない。なにやってんだ。まだ離れない。こっちはもうコールはじまってるっていうのに。最後、なぜかGKまででてきて甲府の抗議が終わった。早くも引き分けねらいの時間稼ぎか?じらされつづけたFKはあっさりクリアされる。
こっちが10秒くらいかけてゆっくり攻め上がった距離をボールを奪うや2、3秒で攻め込んでくる甲府。イヤなパターンだ。これが苦手なんだよな。

 今日は積極的に攻め上がる木沢。相手陣内に深く切りこんで相手選手ともつれて倒れ込んだ。マズい。メインから悲鳴が聞こえる。木沢がキレた。
相手ともみあいになり、イエローカード。これで2試合の出場停止。まあ上位との対決も終わったとこだからしょうがないかな。それよりこの試合だ。木沢って警告もらうといつもふてくされて走らなくなるからな。

 しかし今日の木沢は違った。それからもスゴい勢いで攻め上がる。前をふさがれると逆サイドの中野で50M級のロングパス。このプレーってJ2はもちろんJ1でもあまりみられない。木沢スゴい。と思ったら2回目はミスキック。アウトサイドにかかってボールは前線へ、しかしこれに鳴尾が走り込んでいる。狙ったのか?しかし鳴尾はあっさりボールを奪われる。
ゆっくり攻めるアルビに速攻を仕掛ける甲府。これが何回も続けられる。

 アルビが相手陣内深いところでスローインを得る。ここは鳴尾のロングスローだ。でもこれってH鳥栖戦のリカルドのゴール以外成功していない。成功率が低いんだよね。競る選手がセルジオか瀬戸だから読まれやすいってのが大きいのかな?

 しかし今日は違った。鳴尾の投げるタイミングに合わせて瀬戸がフェイントをかけてポジションを取る。あわてて瀬戸にプレッシャーをかけようとする甲府DF。チャンス。ゴール前ががら空き。そこへはかったように瀬戸がバックヘッド。そしてシンゴのビューティフルボレー。これでシンゴは4試合連続ゴール。
盛り上がるゴール裏。祝福するかのように雷もいっそうひどくなる。

 そこへほんの少し雨が。でも全然小降りだから大丈夫。あ。バックスタンドの客が帰って行く。なぜ、帰る。せっかくだから最後まで見ていけばいいのに。
そして前半終了。そこへ狙ったかのように雨が降り始める。最初は降って来ちゃったって苦笑いしてたら、どんどん強くなってきた。こんなことならポンチョ持って来れば良かった。まさか降るなんてなあ。

 タオルマフラーを頭の上に載せながら豪雨がやむのを待つ。昨日J1の試合が雨で中止になっている。まさか今日も?いやダメダメ。リードしてるんだから。先制したら絶対勝つんだから。

 選手が出てきた。僕のTシャツが濡れて色が濃くなって、よりアルビオレンジに近くなった。でも勝ってくれれば雨なんか関係ない。むしろここで雨との相性の悪さを吹き飛ばしてくれ。ピッチに水がたまって甲府は速い攻めがやりづらくなるに違いない。頼むぞ。勝ち点3。

 後半キックオフ。今度はこっちにむかって攻めるアルビ。さあ、いつもパターンだ。ここで追加点取って勝利を確信させてくれ。前半にくらべて動きが良くなってきた。しかし、どうもおかしい。ちょっとファールの基準がおかしいぞ。

 アルビの選手がチェックにいって甲府の選手が倒れると笛。逆にアルビの選手が倒れるとファールを取らない。おかしい。雨、審判、仙台。やな記憶を蘇る。
そういえばH仙台戦のときも各駅で新潟に来て、長岡から特急白鳥に乗った。今回もそれに乗ったんだけど・・・。

 もう一度、疑惑を持つと止まらない。キレた。アルビの選手が倒れる度に審判に罵声をあびせる。「××××××××××××××××。」活字にするにはふさわしくない表現を大声で怒鳴る。あ、隣の人が苦笑いしてる。ちょっと反省。

 しかし、同じことが繰り返される。この基準の分からぬファールの取り方。そんなにJ2を面白くしたいのか?
別にこっちがファールばっかり取られてるから怒ってるわけじゃない。審判、アンタ、センターサークルの近くから動いてないじゃないか。それでファールか、ファールじゃないのか見えてるのか。本当に。

 そしてここからが問題。ゴール前に走り込むリカルド。そこをうしろからチャージされ倒れる。しかし審判はダイブと判断したのか遠くから、ノーファールの合図を出しながらまっすぐこっちへ走ってくる。まず、そこがおかしい。審判はピッチ上を斜めに走るのが基本だろ。なんでまっすぐ走ってきてるんだ。さっき以上にキツい表現で怒鳴る。

 そこから甲府の速攻。ヤバイ。そこを秋葉がファール気味に止める。しかし笛はならない。こぼれ球をシュート。やられた。
いままで見た中でもっとも納得いかない失点。すべてが甲府のためのジャッジに見えた。怒り倍増。怒鳴りは2乗。なんなんだよ。一体。
残り15分。もう泣きそうになってきた。勝ち点を盗まれた。

 ここから怒涛の攻撃をみせるアルビ。仙台戦のときとは違って不利なジャッジでも、審判を取り囲むこともしないし、異義も言わない。勝ちたくないわけじゃない。ただ、勝つためには攻めるしかないことが分かってるんだ。この何ヵ月でどれだけ成長してるんだろう。選手達は。

 でも点が取れない。残り時間が0になった。ホントに涙がでてきた。恥ずかしいから目をこすってごまかす。コンタクトが取れた。最悪だ。
コンタクトを落とさないようにゴール裏からメイン側へ移動。これを落としたら試合が見れない。Vゴールで肩を落とす審判の顔が見えない。
なんとかというより無理矢理コンタクト装着。戻るとコンサ戦のようにゴール裏が密集してる。場所がない。でも中で応援したい。思わず知り合いにアイコンタクト。こころよく入れてくれた。ありがとう。絶対勝つぞ。

 延長戦。あいかわらず、速攻でくる甲府。ゆっくり攻めてなかなかシュートまで持っていけないアルビ。アルビのチャンスに流してほしいファールを取る審判。
はっきり言って点を取れる自信がなかった。正確にはゴールになる自信がなかった。ゴールになってもキーパーチャージやオフサイドで取り消される。最後、審判がアルビのゴールにシュートして試合を終わらせるんだ。そこまで審判不信におちいっていた。
延長で唯一のゴールチャンスだった太一のシュートもバーの上。結局試合終了。引き分け。

 コンサ戦でも勝ち点1。この試合も勝ち点1。冗談じゃない。勝ち点を審判に盗まれた。一人怒っていた。そのとき、こっちにむかってくる木沢がドリンクボトルを蹴り上げた。

 はっきり言って目が覚めた。審判よりアルビが点を取れなくて引き分けたんだ。選手は1度も判定に異義をとなえなかったし、最後まで勝利のために走った。だからそこまで悔しがれるんだ。

 怒ったように手を軽く上げ、引き上げる木沢。この態度に怒っている人もいた。でも僕はおとなしい選手が多いアルビの中で木沢の闘志が大きなキャプテンシーになってるんだと思う。キャプテン自ら茶髪にピアス、警告も多いし、ふてくされることだって少なくない。でも木沢にかわりはいない。木沢だからここまで3位の成績を残せてるんだと思う。

 こんな頼もしいキャプテン、他のチームにはいないだろう。

【採点と寸評】

GK #1 木寺 6.5
ハイボール、コーチングともに問題なし。ひざから上からのシュートの反応も素晴らしかった。しかし低いシュートへの反応が少し遅い。失点の場面は速攻だったのだから早めに後ろに下がってポジションを決めておくべきであり、あとずさりしながらでは横への反応ができない。

DF #2 木沢 6.5
今回は守備より攻撃を重視したプレー。攻め上がりの回数も多く、上がってからセンタリング、スルーパスなど使い分けてチャンスを作る。しかし、大きなサイドチェンジ、ロビング気味のパスの精度の低さが目立った。いままではキレると運動量が激減し、ほとんどボールにからまなくなることが多かったが今回はそこからプレーが良くなった。

#3 セルジオ 5.0
速攻が多い甲府の攻撃では空中戦がほとんどなく、CK以外はあまり目立たなかった。むしろ速いドリブルについていけないなど足の遅さが目立ってしまった。後半に1度見せた攻め上がりからのPK狙いのダイブなどセルジオらしからぬプレーが目についた。

#14 高橋 6.0
守備に関しては毎試合ほとんど波がなく、この試合も1度だけサイドで完璧に抜かれた以外はほとんどミスがなかった。速いドリブルにもうまく対処していた。しかし攻撃に関しては前線へのパスがほとんどなかったうえにボランチにパスをだすタイミングが遅く攻撃のスピードを遅らせる一因となった。

#12 中野 6.0
守備に関しては問題なし。攻撃はリカルドとの連係の悪さもあってパス交換から抜け出す場面が見られなかった。もともとドリブルで突破すタイプじゃないだけに、連係が悪いと攻め上がりの回数が少なくなる。
攻め上がったあとも中央へのセンタリングだけではバリエーションに乏しく、スルーパスや切り込んで右足でのシュート、低くて速いセンタリングなど変化が必要。

MF #22 秋葉 6.5
前半始めから攻撃への意識が高く、サイドバックへ好パスを供給。珍しくミドルシュートも放つ。守備は速攻を仕掛けられた場合に全力で戻り食い止める場面が多く見られた。瀬戸のポジションが高い場面が多かったため、1ボランチになる時間帯があったが無難にこなしていた。

#7 瀬戸 6.0
いつもより若干ポジションが高くより攻撃にからむ場面が多かった。惜しいシュートもみられたが枠にいかないことが多いのは問題。ポジションが高くなった分、サイドチェンジやミドルパスの回数が少なくなり、攻撃のリズムを変えることができなかった。鈴木のアシストとなったバックヘッドはスローインが入る前にうまく動いて自分がフリーになると同時に鈴木がフリーになるスペースを作ったファインプレー。

#6 水越 6.5
前節に引続き、豊富な運動量を生かして幅広く守備に貢献。特に木沢が攻め上がってからボールを奪われた場合、右サイドバックのポジションに入るか、ボールを持った甲府の選手にチェックにいくかの判断が良かった。攻めあがってからも突破のドリブルと味方の攻め上がるスペースを作るドリブルを使い分け、チャンスを作る。ただ完全に相手を振り切ってフリーにならないとシュートを打たないクセがあり、そこの修正が必要。

#9 リカルド 4.5
良い形でボールを持てなかったことも影響していると思うが、あまりにもボールにからむ回数が少なかった。中盤でボールをもらいにくる動きが少ないうえに守備に戻るスピードも遅く、かなり疲れがたまっている様子。CKもいまいち精度を欠き、ハーフタイムでの交代が適切だった。

FW #11 鳴尾 5.0
ボールをうけるための動きは良かったもののパス出しの遅れからチャンスを作れず。足元にもらってからキープのドリブルはいいのだが突破のドリブルがほとんど見られなかった。前半途中から運動量が落ちボールにからむ回数が激減。ほとんどの試合に出場しているせいだろうか。最近特にハングリーさがみられないことが多い。得意プレーがロングスローの選手ではないはず。

#17 鈴木 6.5
うまく休む時間帯を作って最後までキレのある突破でチャンスを作る。しかし右足でのフィニッシュに難あり。切り込んでからの折り返しも長すぎることが多いなど雑なプレーも目立った。ドリブル突破を狙い過ぎてボールを受けに中盤に下がってくることも多く、バランスがくずれる場面もあった。そのためDFの裏を狙うプレーがほとんど見られず。

#18 島田 5.5
交代して最初のプレーなどいいところに走り込みながら、ボールタッチが雑でゴールに結びつけることができないことが多い。また交代選手なのに運動量が少なく守備にほとんど参加しないなど不満が多い。

#4 柴 5.5
久しぶりの試合出場というわけではないのだが緊張していたのか、動きにぎこちなさが目立った。しかしプレーではほとんどミスがなく、無難にこなしていた。

#23 長谷川 5.0
緊張していたか全体的にプレーに積極性が感じられなかった。延長唯一のチャンスであったシュートは足ではなく頭から飛び込めば、枠をはずすことはなかった。

監督 永井 5.5
リカルド、セルジオの交代はもっと早くても良かったのではないだろうか。全体的に采配の遅れが目立った。甲府の速い攻めに関しての対処の仕方は決めてあったのだろうか。小瀬と同じく、カウンターでやられたことは大きな反省点。