2005.08.15 グラマラス!

 アルビレックス新潟のサポーターズCDが今年も発売されることになった(8月17日全国一斉発売)。今年のタイトルは「GLAMOUROUS(グラマラス)」。恥じらうことのない立派な死語だが、「彼女、すげぇグラマーじゃん!」の形容詞形。改めて辞書を引いてみると、「魅力」「心を迷わす美しさ」とある。悩ましいくらいの美しさ。それって、古今東西、男は相手に、女は自分に、詰まるところ誰もが永遠に求めるものじゃないか。

 かつて、ここでも書いたが、新潟スタジアムで行われた5月4日の川崎戦、僕は例えようがない幸福感に包まれていた。陳腐な表現だがオレンジに染まる劇場で繰り広げられた最高のエンターテイメントに、御年36歳、今更ながら酔ったのである。
 
 ちょうどそのころ、CDの制作もスタートさせたところであった。いくらサポーターが作る、そして特殊なジャンルのCDだからといって、マンネリはしたくなかった。さしあたって、今年度のテーマ、タイトルを決めなくてはならず、頭を痛めていたのだが、そんなときに浮かんだのがこのグラマラスだったのである。えのきどいちろうさんの言葉を借りよう。
 
 「いきつけのサッカーがあるって、すごく豊かなことだよね」
 
 そう、これをグラマラスな日々といわずしてなんと言おう。このコラムを読んでいる人に、その意味するところを手取り足取り説明するのは時間の無駄というもの。その言葉ににんまりしている時点で、立派なグラマラスライフを送っているに違いないから。
 
 さて、タイトルはグラマラスに決めたが、あとはこれを具現化する手段、方法を考えなくてはならない。グラマラスといえば、勝手ながらあのギラギラ、ダサダサだった70年代、80年代にプレイバックする。まずは、その時代の象徴たるティアドロップ型のサングラスを百円ショップで手に入れた。西部警察で大門刑事がつけていたそれと言えば分かりやすいか。
 
 ティアドロップ型のサングラスを常時身につけて考え、制作、完成させたのが今回のアルバム。折角の機会なので、ライナーノーツより一足早く、よりディープに解説をしてみたい。

Gorgeous(ゴージャス)
1曲目。例年通り、多くのサポーターで録音、収録したのがこのトラック。ここに収録されている曲は全て未発表のもの、つまりは新曲ということになる。新曲は許可が下りるのかも不透明で、そのため作業は最後まで難航した。慎吾の曲なんて全くの別曲になってしまったから驚く人も多いだろう。
録音はすべて生演奏で、こちらもサポーターが難儀して録音してくれた(何日もかかった)。ということで、ゴージャスというタイトルのわりには、苦労が忍ばれる「おしん」のような曲である。
 
Precious(プレシャス)
2曲目。桑原、海本慶治、優作、喜多の4人をセレクト。4曲ともピッチをそろえたので、1体感は抜群。スケジュールの関係上、先に歌をとり、その後、それに合わせてトラックを作る初めてのパターンだった。
しかし、運命とは分からないもので、3曲目のミックスダウンに行ったスタジオで、R&Cのディレクターが懇意にしているスタジオミュージシャンに遭遇。それが縁で、打ち込みを取りやめ演奏してもらうことに。これが凄い。たまげた。これは是非聞いてもらわなくてはならない。
喜多の曲で絶叫しているのはアントニオ勝新(サポーター)で、彼はこれ一発で喉をつぶした。まさに一発芸。そんなプロ根性(どんなプロだい)も褒め称えてやってください。
 
Seigoro On My Mind(我が心の清五郎)
3曲目。今年のメイントラックで、前述の通り「グラマラス」の舞台になった新潟スタジアムの生音を収録している。録音した日は奇しくも5月4日。そう、リマの劇的なフリーキックが生まれたあの川崎戦だ。
もちろん、単にスタジアムの音を収録しても面白くないので、それをアレンジャーが見事な腕で楽曲とした。ドラマチックな感動巨編に仕上がっており、新潟スタジアムの雰囲気を知っている人はもちろんのこと、そうでない人にもきっと熱い思いが伝わるはず。まさに、グラマラスなトラックである。
 
Le Cygne Stomp(ル・シーニュ・ストンプ)
ここからはボーナストラック。長年歌われている選手の曲になると、さすがにアレンジのネタもマンネリになってくるので、趣向を変えて、ジャズアレンジでやってみた。演奏しているのは、間もなくデビュー予定のレ・フレール。ハンサムな兄弟デュオで、ピアノの連弾でその見事な腕を披露してくれている。果たして誰の曲がどこにかくれているか気づくでしょうか。
 
ラヴソング(俺たちの誇り新潟)
お馴染みの曲。こちらは歌、演奏とも本当にライブで収録してみた。
 
 
最後にジャケットについて。
表紙ジャケットはアンデルソン・リマである。百円ショップで購入したティアドロップサングラスをつけ、喜んでポーズをつけるなど、元セレソンとは思えない気さくさで僕らを喜ばせてくれた。
用意していた曲がNGで、収録できなかったのが残念であったが、彼にはトラック3で活躍してもらっている。本当にありがとう。

 ということで、CD発売ウィークということで、いつもとは異なるスタイルでお届けしてみた。視聴はこのMSNサイト内で出来るので、興味を持たれた方は是非一聴を。それと、あくまでもインパクトの問題なんだけど、どうせならオリコン上位を狙ってみたいので、可能ならば発売週に買って頂けると嬉しいです。とりあえず、20日のガンバ戦には大々的にスタジアム販売いたします。そちらでお会いしましょう。
 
2008年8月15日 浅妻 信

PROFILE of 浅妻 信
あさつま まこと 1968年生まれ。新潟市出身。新潟高校卒業後、関西で長い学生時代を過ごす。アルビレックスとの出会いは99年のJ2リーグ開幕戦から。以来、サッカーの魅力にとりつかれ、現在に至る。2002年、サポーターのみでゼロから作り上げたサポーターズCD「FEEEVER!!」をプロデュースして話題に。現在もラジオのコメンテーターだけでなく、自ら代表を務める新潟県社会人リーグ所属ASジャミネイロの現役選手としてフィールドに立つなど多方面で活躍中。