1999.10.18 第31節 MatchReport 新潟×大宮

1999年10月18日(月)19:00キックオフ
於 新潟市営陸上競技場
アルビレックス新潟 対 大宮アルディージャ ● 0-1

 
 とうとうきてしまった。寒い日のナイトゲーム。寒さが人一倍苦手なので今回のスタジアム入りは試合開始直前。直前入りにしたのはもうひとつ理由があった。それはガラガラのスタンドを見たくないということ。この寒さ、平日、観客の減る要素があっても、増える要素は見当たらない。ましてやアウエーでは連勝中ながら、ホームでは連敗中。下手したら初めての1000人割れかもしれない。

 そしてスタジアムへ到着して周りを見渡す。思ったよりも観客は入っている。1000人を割ることはなさそうだ。今日はゴール裏ではなく、バックスタンドで応援するようだ。場所が違うと印象もかわってみえる。ゴール裏よりも座席の数が少ないので、自然と密集しているようにも見える。

 バックスタンドに行こうかと思ったが、おでんを買ってしまったので、まずゴール裏に座っておでんを食べる。あっというまにおでんが冷めてしまった。まだ、耐えられない寒さではないが、勝利を願う気持ちと同じくらいに延長にいかないことを祈る。

 キックオフ直前の選手を見て、スタメンを目で確認。GKは木寺、DFは右から水越、高橋、柴、藤田、ボランチは秋葉、瀬戸、攻撃的MFに式田、リカルド、FWはシンゴ、サウロの2トップ。ようやく2トップに戻った。それにしてもいまドリブルが絶好調の水越がサイドバックというのはもったいない。そして他のDF、セルジオ、田畑、中野がケガ、木沢が警告累積のため出場停止。つまり今日はDFのサブがいないのだ。層の薄さが響いてきた。

 キックオフ。今回はサポーターのところにいなかったので多少客観的に見れるかもしれない。バックスタンドに一応顔を出しに行ったが居場所が見つからず、サポーターのいないゴール裏、といってもコーナー付近だが、そこで今回は観戦することに決める。

 試合開始直後から攻め込むアルビ、相手のクリアボールを拾った秋葉がミドルシュート。開始1分くらいで初シュートなんてかなり気合いが入ってる証拠。それもそのはず、東京の不振でアルビにも今日勝てば、かすかながら昇格の可能性がでてきている。そしてホームでの連敗も選手は気にかけているに違いない。アルビがなかば押し込むような形の滑りだし。今日こそは勝ってくれ。

 対する大宮は今日は磯山のワントップ。基本的に磯山の頭を狙ってほうりこんでくるが、ここは柴がうまく対応してポストプレーを封じる。そこでつないでくる形にかえて攻めてくる。狙いはこっちの左サイド。前回の大宮公園での対戦でも集中的に狙われた藤田に1対1を挑んでくる。前回ほどやられないものの、やはり何回かは突破されてしまう。

 ゆっくり攻め込むアルビに対して、速攻で左サイドをねらってくる大宮。今日はサウロが倒れると主審がファールをとってくれる。これは主審によってはまったくとってくれない場合もあるので、今日は有利なのかもしれない。しかしFKの精度が低すぎてシュートまでもっていけない。

 大宮の速攻。CBが振り切られそうになり、木寺が飛び出すが、これもとどかない。しかしスピードがつきすぎて体勢が崩れ、ボールは無人のゴールの横を抜けていく。

 今度はDFにあたってこぼれたボールを木寺がとりにダッシュしかけた瞬間、なんと転倒。あきらめずに走ってきた磯山に折り返されるが、ここは秋葉がカットしてクリア。どうも今日の木寺は調子がよくないみたいだ。

 今日の瀬戸は正確なロングパスで攻撃の起点になっているが、めずらしくミスパスが多い。自陣ペナルティエリア付近での瀬戸のミスパスなんていままで見たことなかったのに。さっきの木寺といい、寒さが影響しているのだろうか。

 全体的にパスを回し、攻め上がっていくアルビ。瀬戸へボールが渡る。瀬戸が出したパスが簡単にカットされ、前線につながれる。まずい。右サイドから中央の岩瀬にボールが渡る。左サイドの宮下には藤田がマークしている。しかし藤田のポジショニングはあきらかに左サイドの突破を警戒している。違う。そのポジションだとゴールと宮下との間がガラ空きになる。岩瀬から出たパスを受けた宮下は予想通り中央突破。藤田はもちろん、カバーの秋葉も完全に振り切られる。木寺が飛び出すも宮下のシュートがネットに突き刺さる。0ー1。また先制されてしまった。

 良い感じで攻めることができていただけに、痛い先制点。しかし、まだ前半だけでも15分ある。まだまだ同点のチャンスはあるはずだ。

 しかし、今度はなかなか前線までボールがいかない。パスを回しての攻めではなく、FWのドリブル突破が攻撃になる。そうなるとゴール前の人数が足りず、センタリングが簡単に弾きとばされ、速攻にうつられる。藤田のサイドは中盤やCBとも連係が悪く、2人で同じ選手をマークしてしまい、別の選手にフリーでボールを運ばれてしまう。しかし大宮のシュートの精度の低さにも助けられ、追加点は許さない。

 攻撃的MFの2人、式田、リカルドがドリブルで突破できない分、水越がドリブルで攻め上がってくる。そして岡本もかわし、ゴール前へ行こうとした瞬間、岡本に引きずり倒される。ペナルティエリアのすぐ外側、角度がないので直接狙うのは難しいが、大きなチャンスである。ゴール前での選手同士のいさかいで何回か主審が注意。そしてようやくFK。シンゴの蹴ったボールは目を疑うくらいに高くファーサイドへ流れる。かろうじてラインは割らなかったが、そのまま前半終了。今日は大事なところで選手の集中がきれる場面が目立つ。

 トイレに行く知り合いを捕まえ、ようやくサブの確認。高道、島田、鳴尾、河原塚、恒松の5人。GK1人にMF1人、FW3人。厳しいいまの状況をそのまま物語っているかのようだ。

 どんどん寒くなってきた。スタッフがブランケットを売っている。タイムリーなグッズだ。どうせなら、それにホットコーヒーとかも売ってくれるともっとうれしい。来年は売子が必要なくらいスタンドがうまることを期待。

 そして後半が開始される。今日のサポーターはバックスタンドにいるからメインにはいつもよりよく聞こえているのだろうか、メインの観客のメガホンの音もいつもよりよく聞こえる。しかし、今日はバックでのスタオレ作戦はやってない。

 両チームとも選手交代はない。前半と同じようにアルビがボールを支配する時間帯が長いが、大宮もきれいにDFラインを押し上げ、中盤できびしいプレスを仕掛けてくる。

 浅いラインの裏をつくわけではなく、DFラインに混ざってほうりこまれるボールに競ろうとするアルビの選手。FWのサウロ、シンゴならともかく、リカルド、式田まで前線で張っている。もちろん、競り勝つことができず、薄くなった中盤をつかれ、速攻にうつられる。マズい。大宮の狙い通りの展開になりつつある。

 しかし、サウロがうまくDFラインの裏に走り込む。左サイドから中央へ切り込んでいく。瀬戸がよこせとアピールするが、パスを出さない。そのままDFが右サイドへクリア。それを拾ったのは水越。切り返しながら中央突破をはかったところ、ヤンがたまらずファール。主審が迷わず、PKを指示。あまりにも完璧すぎるファールに抗議すらできない大宮の選手。ヤンが悔しがってピッチを叩いている。キッカーはリカルド。最近、プレースキックの精度が落ちているが、大丈夫だろうか。当然、ペナルティエリアの周りには大宮の選手が多く、アルビは万が一のカウンターに備え、最終ラインに5人が残っている。バックスタンドも息を呑んでゴール前をみつめる。リカルドコール、せめてゲットゴールをやらないと、余計に緊張しちゃうんじゃないのかな。助走を始めるリカルド。丁寧に右スミを狙ったボールはGKがキャッチ。スタンドから聞こえるため息。天を仰ぐリカルド。大宮の選手は速攻にうつる。

 痛い。ここで同点にできなかったのは大きい。まだまだ時間はあるけど、次のチャンスはいつくるか、分からないだけに痛すぎるPK失敗。

 ここで永井監督はリカルドに代えて、鳴尾を投入。前節では途中出場で結果をだした鳴尾。期待に応えてくれ。しかし鳴尾のポジションがおかしい。FWなのか、中盤なのか、はっきりしない。ボールにほとんどからめてない。

 65分、そして今度は藤田を下げて高道を投入。ひょっとして川崎F戦のように攻撃体勢に入ったのか。違った。そのまま左サイドバックに入る高道。本職じゃないことを割り引いてもプレーが雑。パスが不正確すぎる。

 大宮は磯山に代えて小阪を投入。前回の対戦では小阪に散々やられたが、磯山に代えてということはワントップに小阪ということだろうか。それなら高さのない小阪だけになんとかなるかもしれない。トップ下にだけは絶対来てほしくないタイプ。

 お互い、決定的なチャンスをなかなか作れない。アルビの方も唯一サウロのシュートくらいだっただろうか。大宮は逃げ切りを狙っているのか、無理には上がってこない。
 
 まだまだあると思ってた時間も気付くと残り時間はあと5分。アルビベンチで交代選手が準備をしているのが分かる。誰か中盤の選手を削ってパワープレーに徹するのか。なんと交代はサウロに代えて島田。島田じゃダメだというわけじゃないが、この交代の意図を知りたい。みずから残り時間を削ってしまっている。直後の大宮も選手交代。これでロスタイムに入る。

 そしてロスタイムもさしたるチャンスをつくれぬまま、タイムアップ。0ー1。ホームの連敗がまたひとつ延びてしまった。

 神妙な面持ちで引き上げてくる選手。その選手達に全員が拍手をしているバックスタンド。川崎F戦の試合後とからめて考えてしまうのは考えすぎだろうか。ホームで連敗が延び、1点も取れなかった。僕には今日の試合の方がふがいなかったと感じた。ブーイングはしなかったが、拍手もしなかった。

 1000人割ることを心配していたが、有料入場者数は2642人。この寒さの中、よく来てくれたと思う。でも選手に危機感はあるのだろうか。最後まで全力を尽くしてプレーしたのかと聞きたい。

 勝敗表を見る。アルビは7位まで落ちる可能性がある。最初は良かったけど、結局は実力がでたと言われてしまうのだろうか。もう1度選手達に考えてもらいたい。なんのために新潟へ来たのか。

【採点と寸評】

GK #1 木寺 5.0
ミスの回数こそ少なかったが、致命的なミスが数回あった。こぼれ球を捕りに行く際に転倒し、敵のボールを奪われた場面はそのまま失点に結びついてもおかしくない。試合の終盤にあったキックでのクリアをミスし、CKにしてしまうなど軽率なプレーが見られた。

DF #6 水越 6.5
ボールを持ってからの攻め上がりは問題なし。ドリブルを中心に攻撃の起点になっていた。前半はよかったが、後半からポジショニングがじょじょに高くなり、守備の意識が低くなっていた。

DF #4 柴 6.0
空中戦を中心に守備に関しては問題ないのだが、最終ラインでのパス回しが少し雑だった。

DF #14 高橋 5.5
藤田との連係が悪く、カバーリングが遅れる場面が多くあった。ほかは特に問題なし。

DF #5 藤田 5.0
1対1に限らず、突破される場面が多かった。コーチングも少なく、CBとマークの確認もできてなかった。高さは強いが、スピードに関しては大きな不安が残る。

MF #22 秋葉 6.5
開始直後のミドルシュートや積極的にサイドチェンジを狙ったロングパスなど、攻撃の意欲が感じられた。守備に関しても献身的に中盤でチェックしていた。

MF #7 瀬戸 6.0
正確なロングパスやミドルパスでボールを展開していったが、ミスパスも多かった。失点となったカウンターは瀬戸のミスパスが発端。ほかにも自陣ペナルティエリア付近でのミスパスなど集中していない時間帯があった。

MF #9 リカルド 5.0
運動量が少なく、ボールにからむ場面が少なかった。PKも含め、セットプレーのキックの精度も低く、チャンスをつぶしていた。

MF #24 式田 5.5
運動量を生かし、ピッチを幅広く走り回っていたが、前線ではってしまっていたり、サイドバックのカバーができてなかったり、全体的に上がり過ぎだった。

FW #10 サウロ 6.0
交代されるまで集中してプレーをしていた。持ち過ぎやダイブもいままで比べると少なく、惜しいシュートも何本か放っていた。

FW #17 鈴木 5.0
ボールを持つと突破できていたが、消えている時間帯が多かった。ロングスローは距離短すぎてチャンスにむすびつけられなかった。FKの精度も低かった。

FW #11 鳴尾 5.0
交代で入ってきてから、なかなか試合のリズムに乗れず、焦りからかDFの裏ばかりを狙い、ボールに触れず。また気持ちが空回りしてのファールがあった。

DF #16 小林 5.0
藤田に代わって左サイドバックに入ったが、全体的にプレーが雑。特に前線へのパスのほとんどが奪われていた。

FW #18 島田 ー
試合出場時間が少なく評価できず。

監督 永井 5.5
サブの薄さから交代が遅れるのはやむをえないとしても、試合終了間際の島田の交代は不可解。また鳴尾投入時のポジション、2トップなのか、3トップなのか、指示があいまいだった。