2006.08.01 最低のゲームと、最高の夜

 5週目だけ登場と言う事ですっかり油断していた西塚です。

 前回船越優蔵ネタを書かせていただきましたので、今回は新潟が産んだ孤高の天才児・本間勲についてと熟考しておりましたが、船越優蔵ベンチ入りと言う事で急遽予定を変更して(自分の中での話ですが)「船越祭り2」とさせていただきます。

 彼、船越優蔵の熱狂的なファンとして書かせていただきたく思い、偏った文章になるかと思いますが、ご了承下さい。長くなりましたが前ふりとさせていただきます。

 電撃が走ったのは28日の夜! 友人からのメールで「船越、遠征帯同するみたいだよ、NETで書かれてた!」と。奇しくも彼の背番号と同じ日だ。ドキドキ胸が高鳴った。

 船越選手は「試合前にサポーターの皆さんが俺のコールしてくれたみたいですね。凄い嬉しい事なんですけど、凄いありがたいんですけど、もう怪我も治ってるし、契約も延長されてるし・・・後は自力で出番を掴むので・・・。出ている他の選手にも失礼だと思うので・・・・・・もしピッチに立てるような時があったらその時は応援お願いします!!」と話していたらしいが、そんな優蔵を気兼ねなく応援できる時がこんなに早くやってくるのかと!!

 事実を確認できぬまま迎えた翌日、土曜日。公式モバイルサイトでメンバーの発表により正式に確認。明日行かねば!! 衝動にかられました。行った所で何も出来ないがこの目でピッチに立つ彼を見たい・・・・・。

 今期2度目(開幕以来)のアウェー参戦です。

 試合について少し触れよう。岡田監督の進退がかかると噂されてるこのゲーム。立ち上がりからマリノスの猛攻、モチベーションの差なのか、アルビは全くボールが回らない。ミスの連続で自滅して攻め込まれている感もあるが、マリノスのプレスが激しい! 完全に飲み込まれてる。北野の神がかりなセーブもあり、何とか凌いでる様な状況。正直こんなにダメなシルビーニョを初めて見た!! ボールの納まりどころが無く、エジミウソンも前線で孤立、サイドでの攻防も完全にドゥトラを中心に制空権を取られていて手詰まりな状態だ。そして耐え凌いでいたDF陣も前半終了間際に失点! 得点できなくても手を緩めず攻め続けたマリノスの集中力は敵ながらアッパレでした。

 「舞台は整った!!」

 優蔵の出番を待ちわびたサポーターの大半はそう思ったに違いない。

 彼には次が約束されていません。しかし、出場を待ちわびていたのですが、元気な姿を見せてくれよ、と思う気持ちよりも、こんな状態で、チームが私が見る中で今季最低な状態の中で、背水の陣の優蔵が投入されて、何も出来ずにマイナスな評価をされたらと・・・・・・子を持つ親の心境で勝手に不安視していました。

 後半スタートから鈴木アルビが動きます。宮沢に交替して松下投入。0-1の段階で何か動きを、と言う意味で無難な選手交代でしょうか? 今までにない動き方ではありますが、素人の私からしても、利にかなっている交代のようには思いました。

 しかし、リズムを掴む間もなく、後半立ち上がりに再び失点。もう動かなければいけない状況。出て欲しいような、出て欲しくないような複雑な心境。

 そんな中2枚目のカードを切ります。なんと六車!! これはサプライズ! こうなると、3枚目は怪我人の可能性等を考えると、なかなか切り辛い。試合の流れはいっこうにアルビに傾かない。半ばあきらめかけながらも期待していた77分! そのときが訪れる! ベンチにいる全選手とハイタッチをして送り出される船越優蔵の姿があるではないか。もう全身鳥肌でしたよ!

頑張れ!
頑張れ!
さっきまで感じていた不安や期待など全て吹き飛んで、とにかく頑張れと!

 いきなりハイボールが入ります、競り負けました。でも、次がある。13分と少ない時間ですが。必ずチャンスはある。最大限アピールしてくれ、次につなげてくれ!

 容赦なくハイボールが入ります。しかし? ヘディングそんなに強くないのにパワープレー? 長身の割にはヘディングで勝負と言うより、胸から下のボールをきちっとおさめて次につなげるポストプレーが持ち味じゃなかったかなと。そんな事はお構い無しにハイボールが優蔵のまわりにドンドン入ってきます。

 しかし、気持ちの入った彼は違いました! 全てに飛び込んでいっています! しかもファーストタッチ以外は、競り勝っています。NEW船越優蔵の誕生です。

 唯一明らかに流れを変えた交代だったのではないのでしょうか。勢いがついてきた終了間際。「ボールは気持ちの強い人の前に転がる」と言っていた前監督の言葉を思い出しました。今までことごとくドゥトラや坂田の前に転がっていたボールが、無人のゴール前で優蔵の前に転がります!

 しかし、大歓声が一瞬にしてため息に。体を張ったDFに防がれ、復帰後初ゴールはなりませんでしたが、間違いなく新しい風が吹き込みました。チームも3連敗と残念な結果に終わりましたが、存在感をアピールするには充分な13分間だったように思います。

 長い長い1日でした。船越祭りはやっと序章がスタートです。私のこのコラムと同じで、前ふりが長くて中身が薄くならないようにただただ応援するだけです。

 燃えろ船越優蔵!!

2006年8月1日 西塚 章仁

PROFILE of 西塚 章仁
にしづか あきひと 1974年生まれ。新潟市出身。小学校よりサッカーを始め、新潟工業時代には川口信男(FC東京)とともに全国大会出場を果たす。現在も現役プレーヤーとして活躍する傍ら、レディース、ジュニア、さらにはフットサルの普及に努めるなど幅広く活躍中。新潟市内で経営するスポーツショップにはアルビレックスの選手もプライベートで多く足を運び、親交も深い。