2007.08.20 Magic in the summer night

 一説によると大阪の夏はマニラよりも暑いという。まさに「どんだけぇ~」。事実、地下鉄御堂筋線から地上に上がるその瞬間、飛び交う言語が、すれ違う人たちの顔がフィリピンのそれに思えてくるほどである(んなこたあない)。こんなクソ暑い時期に、なんたることか今年2試合しかない関西アウェイ戦が予定されている。新潟から遠路はるばるやってくる人たちのためにも、低迷する関西経済のためにも、もう少し優しい時期(六甲山が色づく秋の神戸もおすすめです)に設定してくれてもよかったのではないかな、日程くん。

 非常に残念なことに、万博でのガンバ戦はやむにやまれぬ理由で現地に駆け付けることができなかったのだが、とにかく現地が暑くてたまらんかったという話を嫌というほど聞かされた。しょうがないさ。万博には太陽の塔だってあるし、ガンバ大阪は太陽のイレブンなんだから。まあ、とにかくなぜか関西アウェイ戦は夏に集中している印象がある。古くは2002年の第2クールに最近では05年のセレッソ戦、去年の万博でのゲームも夏の終わりだったし、前回ユニバーで対戦したのも3年前の夏だった。

 3年前の対戦では、山口素弘の秒殺ゴールにはじまり、わずか数分後にはオゼアスが。その後もファビーニョ・エジミウソンに神戸の平瀬・小島・エムボマと懐かしい面々によるゴールショー。その間、ヴィッセルは一度J2に落ちてしまうものの奇跡のV字回復。いやいやV字回復でいえば今年の新潟にはかなうまい。04年10位 ⇒ 05年12位 ⇒ 06年14位と下降線をたどる一方だった順位が今年はここまで4位。今回の試合では派手なゴールショーこそなかったものの、試合前から前半にわたるすさまじいばかりの稲光&雷鳴とハーフタイムの花火ショーという、ある意味イリュージョンな演出が新潟の快進撃への祝福であったことは間違いない。

 神戸での対戦についてはウイングスタジアム派が圧倒的に多いようだが、個人的にはユニバー競技場が結構好きだったりする。学生時代をこの辺で過ごしたというのもあるけど、とても神戸の街とは思えない(広島ビッグアーチにも似た)環境が、白黒だった頃の(いうてしまえば、ややもっさい感じな)ヴィッセル神戸と絶妙にマッチしていて好きだったのに。余談だが、ヴィッセルの練習場である「いぶきの森」は小高い丘の上にあるので一瞬、ここは新潟か! と錯覚しそうになるほどだ。おそらくデヴィ純や栗原も思っていることだろう。うん。

 さて、神戸戦。前回対戦した6月の試合は観ていないのだけど、この2カ月間で新潟・神戸とも大きく変わってしまったなあ、というのが正直な気持ち。神戸は酒井の加入で中盤のど真ん中は大きく安定度を増したし(もともとボッティもよかった)、サイドの大久保やパク・カンジョもキレキレ。唯一、新潟的に期待の持てる材料がほぼ不変の最終ラインだけ。一方の新潟の方が実は不安だった。鈴木慎吾がいなくなり(やっぱ寂しいことやけどね)、逆に補強もない状況でいかにして連戦と暑さの続く8月9月を乗り切るのか、と。まあ、そんな不安をギリギリのところでなんとか払拭する完封ゲーム! おかげさまで今年の観戦試合は無敗ですよ。むはは。なんといっても見事なカウンターからのマルシオ・リシャルデスのゴールと驚異的な北野のナイスセーブ。やっぱり勝利のあとで飲む酒は旨いっ。

2007年8月20日 12時46分 塚田 義

PROFILE of 塚田 義(つかだ ただし)
1972年生まれ。新潟市出身。進学を機に神戸へ。初めてアルビレックスを生観戦した2002年7月の長居(セレッソ大阪戦)以来ズブズブとゴール裏へ。ナニワナイトや関西発バスツアーなど今年も画策中。