1999.11.13 アルビレックス新潟 観戦ガイド

(1999年11月19日 ガイド(#8筒井、#17鈴木、#18島田、#23長谷川)、まとめを追加。)

 
GK #1 木寺 浩一 179cm 72kg

他チームでは中堅とされる年齢(27歳)ながら、若手の多いアルビレックスではベテラン扱い。木寺の特徴は大きな声と至近距離からのシュートへの反応の早さ。声は本当に大きいです。これはDFへの指示が必要なGK にとってはとても重要なこと。そして至近距離からのシュートへの反応の良さ。今まで何回もダメだ。やられた。と思っても、木寺が止めてくれて勝った試合が何試合もあります。

GK #20 吉原 慎也 185cm 75kg

今季、横浜Fマリノスからのレンタル移籍でアルビレックスに加入。甘いマスクで女性ファン多し。吉原の特徴はなんといっても守備範囲の広さ。特に空中戦の強さはJ2屈指。信じられないくらいジャンプ力があります。具体的に言うと吉原は新潟市営のメインスタンドのサクにジャンプして手が届きます。

右SB #2 木沢 正徳 170cm 62kg

言わずと知れたアルビレックスの主将。闘将と呼ばれるほどピッチの中では熱いプレーを見せる反面、グラウンドの外では非常にシャイな選手です。ただ人一倍自分とチームに厳しく、負けた試合の後はものすごいこわい顔してますが。木沢の特徴は俊足とテクニックを活かしたオーバーラップと正確なサイドチェンジができる右足のダイレクトキックです。木沢がボールを持って右サイドを駆け上がるだけで新潟市営のスタンドが湧きます。それくらいチャンスに結びつく可能性が高いのです。そして上がってからセンタリングかとおもいきやスルーパスやシュートなどバリエーションも豊富です。そしてダイレクトキックでのサイドチェンジは主に左SBの中野へ送る場面が多いです。見れば分かりますがJ1でもこれだけ長いサイドチェンジができる選手はそうそうにいません。つまり、木沢はアルビレックスの攻撃の起点なのです。

左SB #12 中野 圭一郎 171cm 65kg

アルビレックスで数少ない妻帯者。奥さん、かなりの美人です。左ヒザの痛々しいテーピングを見て分かる通り、現在負傷中ですが痛み止めの注射を打ちながらプレーしています。中野の特徴はバランスの良さ。右サイドからの攻撃が多いアルビレックスにおいて、左サイドでうまくバランスをとってのプレーぶりはまだ大学を卒業して2年目の選手であることを忘れさせてくれます。必然的に守備に重点をおくことが多いのですが、1対1に強くほとんど抜かれることがありません。木沢ほど回数は多くない中野のオーバーラップですが、木沢とは違いタイミングをはかって攻め上がってボールを受けることが多いです。特にリカルドと相性がよく、リカルドから中野、そしてセンタリングという場面が試合中に何回も見られるでしょう。

CB #3 セルジオ 184cm 73kg

誰にでも優しいセルジオはアルビレックスで非常に人気のある選手の一人です。勝った試合の後に必ずスタンドに来てくれますし、サインや握手にもいつでも気軽に応じてくれます。セルジオの特徴はセルジオ越後の壁という横断幕の通り、壁となるディフェンスです。気迫あふれるスライディング、相手を寄せ付けないヘディング。ただ、セルジオがスライディングタックルをするとボールにいっていても相手選手は大抵吹き飛んでしまうので、警告をもらうことが多く、山形戦は残念ながら警告累積で出場停止です。

CB #4 柴 暢彦 179cm 73kg

今季、大分FC(現大分トリニータ)から移籍してきた柴の特徴は打点の高いヘディングと激しいながらも警告をもらわないディフェンスです。身長は180cm ないのですが、ヘディングの高さは決して背の高い選手にもひけをとりません。すでにヘディングで2点取っていることで十分証明できると思います。そしてときおり激しいスラインディングタックルをしますが、確実にボールだけをとらえているのでファールになりません。守備の技術の高い選手です。タイプとしては剛、ストッパータイプの選手です。

CB #14 高橋 直樹 178cm 68kg

前半戦はサブにも入れなかった高橋もいまではアルビレックスの守備の要。ルーキーとしてあり余る活躍をしています。福岡大の先輩、柴とコンビは非常に見ていて安心できます。 高橋の特徴はすべてをそつなくこなす器用さでしょう。不得意なプレーが見当たりません。空中戦、1対1、他の選手への指示。すべてを無難にこなします。柴を剛とするなら高橋は柔、スイーパータイプの選手です。

ボランチ #22 秋葉 忠宏 173cm 67kg

前回のアトランタ五輪に出場の経験を持つ秋葉はアルビレックスの副主将です。年齢は高くはないですが、数多くの経験を持っています。秋葉の特徴は体力の続く限りの中盤での守備とカバーリング能力です。見ためは足が速そうに見えないかもしれませんが、かなりの俊足です。素早い判断がさらに速くみせているのかもしれません。中盤で危険な地点を察知するとすぐさまダッシュで相手の攻撃の芽を摘み取ります。こぼれ球への反応も速いです。そしてDFラインに手薄なところをみつけるとすぐさまカバーに入ります。目立たないかもしれませんが秋葉はアルビレックスの縁の下の力持ちなのです。

ボランチ #7 瀬戸 春樹 180cm 72kg

甘いマスクと同様にスマートなプレーの多い瀬戸は今季、アルビレックスで最も出場時間の長い選手です。つまり、最も欠かすことのできない選手と言ってもいいでしょう。瀬戸の特徴はボランチながら得点能力とテクニックの高さです。元々FWの選手だった影響もあるのでしょうが、頭、右足、左足、どこでも点が取れるボランチというのはチームに欠かせません。そしてテクニックの高さ、これは特に展開力が示していると思います。広い視野を確保しているからこそ、瀬戸のミドルパスから木沢、中野の攻め上がりを引き出します。そして前にスペースがあるとみるとミドルシュート。
また、体を張ってのボールキープやスルーパスも出せます。さらに調子の波がほとんどないことも欠かせない選手である理由のひとつです。

MF #6 水越 潤 171cm 65kg

数少ない地域リーグからJFLへの昇格メンバーの一人である水越の特徴は切れ味鋭いドリブルと尽きることのないスタミナでしょう。ドリブルは決してスピードがあるわけではないのですが、切り返しを多用し、相手DFを簡単にかわしていきます。そしてスタミナは試合終了まで決して尽きることはありません。木沢が数多くオーバーラップするため、そのフォローに何回も最終ラインに戻るのですが、それでも何回も前線へ飛び出しチャンスを作ります。そして中盤で献身的な守備をするわけですから。そしてもうひとつの特徴として最後まで諦めない闘志を持っていることが挙げられます。可能性がある限り、ボールを追いかける。これで何回チャンスを作っていることでしょう。あまり表情には見せませんがかなりの負けず嫌いであることは間違いないでしょう。

MF #9 リカルド 175cm 72kg

この身長と体重は公式記録を参照しているのですが、セルジオとリカルドの体重差がたったの1kgというのはどうも信じられません。リカルドの特徴は正確なプレースキックとスルーパスでしょう。アルビレックスではほとんどのCK、FKはリカルドが蹴ります。ゴールに近いところのFKではサポーターから迷わず「リカルドコール」が起こります。それだけ信用されているのです。そしてスルーパスはまさに相手DF を凍り付かせるほどの切れ味を見せます。右足から丁寧に送り込まれるスルーパスから多くのチャンスが生まれるのです。そしてリカルドは得点能力も決して低くはありません。今季、アルビレックスで唯一ハットトリックをしてるのはリカルドです。

MF #24 式田 高義 168cm 67kg

今季、練習生から途中入団した式田の特徴は誰にも負けないハングリー精神でしょう。特徴がハングリー精神と書くと、技術的に取り柄にない選手だと思うかも知れません。しかしスタジアムで式田を見れば分かるはずです。決して足が速いわけはないのに、最後までボールを追いかける。その結果として何回貴重なゴールを生み出しているでしょうか。チームが苦しいときほど活躍できる、これはハングリー精神からくるものだと思ってます。

MF #8 筒井 紀章 172cm 67kg

途中交代からの出場が多い筒井。筒井の特徴といえば、数多くのポジションがこなせるユーティリティー性でしょう。基本的には攻撃的な中盤の選手ですが、ボランチ、サイドバックなどもこなすことができます。またプレースキックも正確でリカルドが欠場しているときは筒井がキッカーをつとめることがあります。

MF #23 長谷川 太一 178cm 65kg

今季、途中入団ながら人気、テクニックはチームでも十分上位に入る太一の特徴は技術を活かしたドリブル突破とスルーパスでしょう。ドリブルは強引というよりは華麗、つまり見る人にスルスルと簡単にかわしていく印象を与えます。そして水橋高校の先輩、瀬戸同様に広い視野と高い技術から繰り出されるスルーパスも大きなチャンスを作り出します。まだ18歳ということを考えると将来が非常に楽しみな選手です。

FW #11 鳴尾 直軌 174cm 70kg

甘いマスクとは裏腹に泥臭いプレーを得意とする鳴尾の特徴はロングスローと体を張ったプレーでしょう。ロングスローと言いながら、実際はミドルスローな選手が多いなか、鳴尾は本当にゴール中央まで投げることができます。まさにスローインがCKの役割をできるのです。これでいくつのチャンスを生み出しているでしょうか。そして決して体が大きいわけではないのですが、体を張ったプレーが得意です。特に中盤からのパスを相手DFと体を入れ替えての突破はそのままチャンスにつながります。シーズン中盤まではいつも笑顔の鳴尾でしたが、いまでは闘う顔になっています。殺気あふれるくらいの執念でゴールを狙います。

FW #10 サウロ 178cm 68kg

まさに何を考えているか分からない選手です。ひとつだけ言えるのは誰よりも目立とうとしていることだけは間違いないでしょう。両刃の剣とさえ呼ばれるサウロの特徴はトリッキーなプレーです。いうまでもないくらいヒールキックを多用しますし、スルーもよく狙います。そしてFKやPK をもらうためにダイビング(ファールされていないのにわざと倒れること)もよくやります。かと思うと信じられないくらいドリブルで突破することもあります。強烈なミドルシュートを放ったかと思うとみえみえのファールを犯します。ただひとつ言えることは正直なプレーの多いアルビレックスにおいて欠かすことのできない最高のアクセントであるということです。まさに魅せるプレーができる選手です。

FW #17 鈴木 慎吾 170cm 63kg

5試合連続ゴールのJ2記録を持つシンゴの特徴は切れ味鋭いドリブル突破と正確なシュートです。鋭い切り返しでDFを次々とかわしていく突破はアルビレックスの大きな武器です。そして5試合連続ゴールにくわえ、現在鳴尾とともにチーム得点王であることから証明されるように、シュートは正確です。特に左足から繰り出される強いシュートで今まで何回も敵のゴールネットを揺らしてきました。残念ながら現在負傷中ですが、ひょっとしたら東京戦に途中出場するかもしれません。

FW #18 島田 周輔 177cm 70kg

シンゴとともに横河電機から移籍してきた島田の特徴はどんな体勢からでもシュートを狙う積極性でしょう。頭、右足、左足とどこからでもつねにゴールを狙っています。また体力を活かした前線からのディフェンスや最後まであきらめない不屈の精神から監督からの評価は高く、スタメンからの出場が多いです。

監督 永井 良和 47歳

サッカーの監督には試合中に積極的に選手交代、フォーメーションチェンジを行うことで試合のリズムを変える監督と、試合前にじっくりと戦術確認をし、選手交代をあまり行わず、選手達自身に試合のリズムを変えることを要求する監督の2つのタイプがある。永井監督は間違いなく後者のタイプである。実際、選手交代は少なく、フォーメーションもあまり変更しない。つまり、選手に全幅の信頼をおいているのである。一見すると監督としての采配を放棄しているようにも見えるかもしれない。だが結果は物語っている。今季36試合中逆転負けしたのはたったの1試合。試合のリズムを壊すことは一切やらない監督なのである。

アルビレックス新潟のチーム概要

チームの基本フォーメーションは4ー4ー2と4ー5ー1。最近は4ー5ー1の方が多いので、こちらを説明すると、ディフェンスラインは4人がフラットに並ぶラインディフェンス。ある程度押し上げはするが積極的にオフサイドトラップはかけない。リスクを冒さないことを第一とする。中盤はまず2人のボランチが並ぶ。そして2人のサイドハーフとトップ下に1人。合わせて5人で中盤を形成する。前の3人のポジションはある程度決められているが固定ではなく、柔軟なポジショニングをとり、ボランチの2人がバランスを取る。ワントップはもちろん、ポストプレーを求められているのだが、基本的にポストだけではなくディフェンスの裏に走り込むことを要求される。このチームはまずワントップの頭を狙ってロングボールという戦術をとらない。徹底的につなぐことを信条とする。ディフェンスラインから丁寧につないでいくため、ワントップであっても裏へ走り込むことが必要なのだ。

 
 
観戦ガイドのまとめとして、ある掲示板に書き込まれたこの書き込みを引用させていただきます。

拍手とブーイング

一流バッターだって10回に7回は打ち損じる。サッカーだって原則は一緒(まぁ、7割方 パスミスするのは論外だけど)。気持ちは分かるけど、もっとおおらかな気持ちで見た方が 楽しいんじゃないだろうか。あたりまえだけど、人間、けなされるより誉められる方が嬉しいもの。けなすことで敵を作る可能性はあるけど、誉めて損したということはあまり聞かない。某スター選手ですら言っているが、ミスをしたとき誰よりもそれに気づき、そして反省しているのは何よりも選手本人であるわけなんだから、わざわざ試合中にその傷に塩を塗り込んで気を萎えさせるのはいかがなもんでしょう?我々はスタジアムに、欲求の捌け口を求めに来ているのではなく、選手をサポートしに来ているわけなんだから。我々は積極的に(あえて意識的にといおう)拍手をしたらいいと思う。シュートまで持っていったら拍手。ナイスパス、魂のこもったプレーにもどんどん拍手。市陸が「日本一選手に甘い」とは違う、「日本一選手を勇気づける」スタジアムになれればいいと思う。