2000.04.04 TRG MatchReport 新潟×アローズ北陸

2000年4月4日(火)14:00キックオフ
於 太夫浜球技場
アルビレックス新潟 対 アローズ北陸 ○ 4-0

 
 今日はかなりの晴天だが、太夫浜は風が強く、コートが必要なくらい寒い。リーグの休み期間を利用し、太夫浜球技場で練習試合が行われた。相手は今年JFLに昇格したアローズ北陸。北信越リーグ時代はライバルだったようだが、今では完全な格下の相手である。今回の練習試合の目的のひとつに今ひとつ調子の上がらない攻撃陣に得点パターンを再確認させるということがあるようだ。

 
【スターティングフォーメーション】


 
 ユニホームではなく練習着での試合だが、スタメンは完全なレギュラーメンバー。寺川が攻撃的MFに起用されている。マルコ、ナシメントの2人はベンチスタートらしい。

 ちゃんと主審と副審2人が招聘され、形式は公式戦と同じく45分ハーフである。

 平日の昼間とはいえ結構見学者の数は多い。学生は春休みだろうが、多数は社会人。仕事を休んだり、抜けてきての観戦だろうか。

 キックオフで試合が始まる。当然ながらボールをキープするのはアルビ。木沢、寺川のポジションが見学者席の目の前になり、いやでも注目してしまう。ピッチとの距離は狭く、選手のだす指示がよく聞こえる。

 最初にチャンスを作ったのはアローズ。速攻から左サイドを破ると中央にセンタリング。ファーにフリーの選手が詰めていたが、センタリングはミスキックとなり直接吉原の胸に収まる。

 木沢が積極的に指示をだしているが、なかなかボールはうまくつながらない。特に寺川はポジショニングに迷いがあり、うまく攻撃にからめない。木沢がオーバーラップしても寺川からボールがでてこないことが多い。ボールを持ち過ぎるとアローズの選手に囲まれ、ボールを奪われてしまう。JFLの選手に当たり負けしてしまうのは問題だ。

 あいかわらず最終ラインから中盤にボールがつながらない。瀬戸の抜けた穴はいまだ埋まっていないようだ。秋葉、堂森はDFラインから受けたボールをまたDFに戻してしまう。

 シンゴ、寺川の運動量の少なさも目についた。お互いのポジションチェンジはまったく見られず。逆サイドへの飛び出しはシンゴが1度あっただけである。前線への飛び出しも皆無。中盤が機能しない原因のひとつとなっている。

 鳴尾が積極的にチェックにいくにの対し、服部はチェイシングにあまり参加しない。しないというよりどうするべきか分らないようだ。ボールを受けるポジショニングにも迷いが見られ、いざボールを受けても焦りからミスを連発、さらにプレーは消極的になっている。

 アローズはフィールドプレイヤーはともかく、GKがうまくない。エリアを飛び出す判断も遅く、シンゴに簡単に突破される。ひょっとしたら本職のGKではないのかもしれない。プレーのひとつひとつがぎこちない。

 アルビの先制点はそのアローズのGKのミスから生まれる。シンゴのCKに服部が頭で合わせようと詰めるが、空振り。しかし、その服部の動きにGKが惑わされ、ボールは直接ゴールに入った。前半の15分くらいだろうか、1ー0となる。

 得点が入ったが誰ひとり笑顔を見せない。それくらい連携の悪さは深刻だ。監督から指示はまったくでていない。

 アローズのキックオフで試合が再開される。ボールを奪っても展開力のある選手が神田しかいないので、結局DFラインに戻さざるをえなくなり、攻撃のスピードは非常に遅い。さらにDFラインの押し上げも遅く、全体的にプレーのスピードが遅くなる。

 そもそもダッシュする選手がいない。木沢のオーバーラップのときぐらいである。目の前の寺川にいたっては最後まで走る姿を見ることができなかった。

 走らないのでスペースが生まれない。パスコースが作れない。ボールを出すところがなく、無理にドリブルし、囲まれ奪われる場面が繰り返される。

 右サイドで堂森が囲まれ、倒される。得たFKを堂森自身が蹴り、ゴール前でフリーの寺川が頭で合わせ、ゴール左スミに決まる。堂森の蹴ったボールはコース、スピードとも申し分なく、フリーの寺川の頭に確実に合わせるナイスボールだった。合わせた寺川はボールが額ではなく顔に当たったのかしきりに鼻を抑えている。

 2点目が入っても攻撃のリズムはなかなか良くならない。前半の30分にGKが吉原から木寺に代わる。

 前半の残り時間も同じように展開が続き、前半終了。

 ハーフタイムにミーティングが行われる。JFL相手に前半終えて2ー0。決して良い結果とはいえない。

 後半に入り、何人かメンバーチェンジが行われた。FWにナシメント、右SBに井上が入る。神田がボランチに上がり、CBには高橋が入った。

 
【後半のフォーメーション】


 
 後半になり、神田を経由して何回かボールが中盤までつながるようになってきたが、右SBの井上の上がりが遅く、なかなかチャンスにならない。オーバーラップした中野のセンタリングはことごとくアローズDFにひっかかりゴール前まで届かない。ナシメントはボールを持つと積極的に前に突っ込み、ゴールへの意欲を感じさせる。DFを完全に振り切って、シュートを放つがわずかにワクを外れる。この意欲の10分の1でいいから服部に分けて欲しい。服部は相変わらずプレーに精彩を欠く。

 高橋はあいかわらずミスの少ないプレーを見せる。1対1も冷静に対処し、空中戦も強い。だが指示をだす姿はほとんど見られない。

 後半始まって10分くらいたったところで神田に代わって本間が入る。寺川がボランチに下がり、本間が右の攻撃的MFに入る。期待の本間だが今日はあまり良いところがなかった。注目のファーストタッチはトラップミス、ボールにあまりからめない。ときおり良いパスを見せるが安定性に欠ける。

 15分にほとんどボールに触れなかった木寺に代わって野沢が入る。指示をだす声が心無しか遠慮がちだ。味方のバックパスをキックミスし、アローズのチャンスにつながってしまう。

 20分に残りのメンバー全員がピッチに入る。FWに太一、攻撃的MFに右が式田、左にマルコ、本間がボランチに下がって高道とダブルボランチを組む。CBには柴が入った。

 
【交代後のフォーメーション】


 
 太一はDFを背にしてプレーするトップではやりにくそうだ。キープすると簡単にさばくように味方から指示がでる。トップでは得意のスルーパスもだせない。中盤にもどすべきではないだろうか。

 本間、高道のダブルボランチは非常に機能しない。お互いに声を出し合うこともなく、上がりすぎ、下がりすぎの場面が多く見られた。2人ともDFラインに吸収されてしまう場面もあり、実戦的ではない。

 柴はあいかわらずトラップできるボールを大きくヘディングでクリアしてしまう場面が多い。大きいクリアはリスクは低くなるが、前にクリアしては簡単に敵にボールを取られ、波状攻撃をうける羽目になる。せめてサイドの味方を狙ってほしい。

 式田とマルコの2人は良かった。スピードはないものの運動量の多い式田によって生まれたスペースをマルコがうまくつかってチャンスを作る。ここにナシメントがからみ、攻撃の形ができつつあった。

 3点目、4点目は3人のコンビネーションから生まれた。式田からのパスを受けたナシメントが強引に突破を計り、こぼれたボールをマルコが押し込んで3点目を奪う。4点目は式田がマルコに一旦預け、前線に走り込み、マルコがスルーパス。GKと1対1になった式田は冷静にGKの股間を抜き、4点目。

 試合終了間際にアローズの選手がフリーでヘディングシュートを放つが、野沢がファインセーブでボールを弾き出す。ここで試合終了。4ー0。

 リーグ戦の悪い流れは払拭できていない。特に中盤の不調は致命的だ。いまだメンバーが固定できていない。今日見た限りでは秋葉、神田のボランチに式田、マルコの攻撃的MFが良いように見えた。寺川はもうちょっと当たりに強くならないとなかなか難しい。パスセンスはいいのだが。

 試合後、駐車場ですれ違う選手に声をかけながらちょっと気付いたことがあった。マルコは「ナイスパス。」と声をかけると親指を立て笑顔をみせてくれた。車の中からナシメントに手を振ると笑顔で振り返してくれた。高橋に「お疲れ様」と声をかけるとうつむきながら消え入るような声で返してくれた。本間にいたっては手を振ると凍り付いたような表情で会釈を返してくれた。日本人選手もブラジル人選手を見習ってもっと笑顔を見せてくれればなぁと思う。少なくとも今日、ナシメントとマルコには親近感が湧き、応援しようと思ったが、高橋や本間からはあまり感じられなかった。ファンとのふれ合い。これもプロの務めではないだろうか?寒い太夫浜球技場の駐車場でふと考え込んでしまった。