2007.09.17 THE CUP OF LIFE

 プロフィールにもあるとおり、はじめてアルビレックスの試合を生で観たのが世界陸上で沸いた? 長居で行なわれた2002年7月のセレッソ戦。ところが、もっと早い段階でファーストコンタクトを取っていたはずだった。

 まずは10年前、1997年11月に今はなき神戸中央球技場で行われた天皇杯1回戦、関西学院大学との試合。まだアルビレックスが北信越リーグ所属のころで、情報源もなかったのだがたまたま手にした「関西版ぴあ」のスポーツのコーナーに天皇杯のトーナメント表が。そしてそこにはアルビレックスの文字が! 単なる偶然で目に
した程度だったので、結局同じ号の「関西版ぴあ」に載っていた某アーティストのライヴの当日券発売あります情報に負けてしまったわけなのだが…。

 続いて2001年。アビスパ福岡を蹴散らして進出した4回戦は鳥取で行われたガンバ大阪戦。個人的にも激しく気になる一戦だっただけに「カニ食べに行こうよ!」といって当時の彼女をこっそり騙して鳥取へサッカーを観に行くつもりが、タイミングの悪いことになぜか[かに道楽]の食事券を持って待ち合わせ場所に現れる彼女…。

 一度ならず二度までも天皇杯とアルビレックスの関係を見事に断たれてしまったわけだが、和歌山・紀三井寺で行われた2002年の天皇杯1回戦は何事もなく観ることができた。紀北蹴球団を相手に9対0と圧勝したこともあるけれど、たまたま小学校時代の友人と20年ぶりに再会するなど、印象に残る試合だった。そんなアザーストーリーも手伝って、天皇杯は不思議なほどに胸躍らせてくれる大会といっても言い過ぎではない。

 去年のアウェイ名古屋戦の翌日、岐阜・長良川まで足を伸ばして観た天皇杯1回戦のFC岐阜と広島経済大の一戦がさらに拍車をかけたのも事実。地方のスタジアムというロケーション。全体的にはまったりとした雰囲気をブチ破ろうとするサポーターの野太い声と太鼓のリズム。ピッチ上のやり取りが聞き取れるほどの親近感。結局、去年は1回戦だけに飽き足らず2回戦から3回戦…と準決勝まですべての試合を観に行ってしまったほどだ。

 そして今年も…。ホーム柏戦ではなく天皇杯1回戦をチョイスするというサポーターにあるまじき態度(苦笑)。香川で行なわれた瀬戸内海ダービー(カマタマーレ讃岐vs三菱島FC)にも心魅かれたものの、一番近い加古川で行われたバンディオンセ神戸vs山形大学の一戦に足を運んだ。この日の観客数は525人。

 しかもバンディオンセが運営しているスクールの子どもたちが多く駆け付けたために、はじめは野太い男たちの声援にいつの間にか子どもたちの声援もプラス。プレーで引っ張る元ガンバの森岡や試合中の負傷を押してチームを鼓舞するキャプテン神崎の姿も含めて「なんかええ雰囲気やん」としみじみしてたのはナイショだ。

 ビッグスワンの環境に、いやサテライトやレディースの試合でも3000人入るような新潟の環境に慣れてしまうと、天皇杯の1回戦や2回戦はかなり異質なものに思えるかもしれないが、逆にこのあたりの試合でも数千人埋まるようだと、そしてひとつひとつのプレーに拍手が自然に起きるようになると日本のサッカーはもっともっと楽しみなものになるだろうなあ、と思う。

 楽しみなことはもうひとつある。

 去年、準決勝まで観に行って決勝を観なかった理由は、ただひとつ。アルビレックス新潟が決勝のピッチに立つその日まで天皇杯の決勝には行かないと固く心に誓ってしまったからだ。リーグ戦ではここのところ芳しくない結果が続いているけど、今年は大いに期待させてもらいますよ。ちなみに今年の組み合わせから順当に行けば準決勝でガンバ大阪と激突。例年どおりに行けばおそらく会場は長居だろう。関西在住サポーターの楽しみがまたひとつ増えるというものだ。

2007年9月17日 19時05分 塚田 義

PROFILE of 塚田 義(つかだ ただし)
1972年生まれ。新潟市出身。進学を機に神戸へ。初めてアルビレックスを生観戦した2002年7月の長居(セレッソ大阪戦)以来ズブズブとゴール裏へ。ナニワナイトや関西発バスツアーなど今年も画策中。