2000.08.18 第29節 MachReport 新潟×水戸

2000年8月18日(金)19:00キックオフ
於 新潟市陸上競技場
アルビレックス新潟 対 水戸ホーリーホック △ 1-1

 
 久しぶりの平日のナイトゲーム。2連勝と好調な成績が影響しているのだろうか、思ったより客の出足は良い。今日で水戸とは3回目の対戦となる。前回、前々回と山形の勝って調子にのりかけると水戸に敗戦と相性は良くない。今日こそ3度目の正直で水戸から勝利を奪うことが出来るのだろうか。勝つと水戸、さらに今節試合のない鳥栖を越えて7位に浮上する。次節は2連勝と相性のいい平塚だけにそこまで良い流れを保ち続けたいところである。

 新潟は鳴尾、さらに神田もケガで欠場。負傷明けの深沢と秋葉が2人の代役に入る。鳴尾はここまで61試合連続出場と記録を更新していただけにもったいない欠場である。

 水戸は得点力不足解消のため、3人のブラジル人を補強。特に#11のジョンパウロは元ブラジル代表とのこと。35歳のベテラン選手だが、油断はできない。水戸の粘り強い守備を新潟がどう崩せるかが試合の見どころである。

 主審のホイッスルで試合が始まる。新潟がボールを奪って最終ラインでゆっくりとボールを回す。水戸は無理にプレスをかけずに、プレッシャーをかけにいくラインを決め、最終ラインを押し上げて中盤をコンパクトにして守っている。新潟は4人のDFがボールを回しているとシンゴ、本間が前線に上がって自然と4トップ気味になっている。水戸の高いDFラインの裏のスペースを突こうとしているのだろうか。だが基本的に2人はパスの受け手ではなく、出し手のはず。結果的に中盤に大きなスペースが出来てしまう。寺川と秋葉の2人でボールを運ばなくてはいけなくなり、非常にやりにくそうだ。

 木沢から中野へ大きなサイドチェンジのロングパスが通り、歓声がわく。しかし中野はパスの出す相手がいないで、結局高橋に戻す。これではサイドチェンジの意味がまったくない。

 水戸が中盤でボールを奪う。ジョンパウロがゴールに向かってドリブルしてくる。ジョンパウロのドリブルは普通の選手のドリブルよりボールの位置を体の真下においてドリブルしてくるので、非常に取りづらい。高橋が無理に足を伸ばしてカットしにいこうとするとファールになってしまう。FKの位置はゴール中央やや右より。距離は30Mから35Mといったところだろうか。ボールの周りにはブラジル人が3人。一人がオトリになって蹴ったのはジョンパウロ。ボールは木寺の正面。木寺が落ち着いてキャッチする。これがこの試合通じて初めてのシュートとなる。

 水戸に比べ、新潟の方がサイドを切れ込んでセンタリングを上げることが多いが、中央で合わせることができない。DFにクリアされるか、誰も触れずにラインを割るかのどちらかになってしまう。

 前半30分たつかたたないうちにジョンパウロはケガだろうか。交代してしまう。代わりに北川が投入される。たった30分だったが、独特のドリブル、アウトサイドでのスルーパスなど能力の違いを感じた。

 新潟の初シュートはキックオフから30分近くたった頃。右サイドを木沢がドリブルで切れ込んでグラウンダーのセンタリング。ニアでボールを受けたシンゴがシュート。GKが弾いたところをもう1度角度のないところからシュートにいくが、ボールはサイドネット。中央でフリーになっていた深沢が不満そうな表情をして自陣に戻ってくる。

 今度は同じような位置でナシメントがボレーシュート。ジャストミートしなかったことが良かったのか、水戸のGKのタイミングをずらし、ボールはゆっくりとゴールマウスに転がり込む。

 先制したことでチーム全員が安心したのか。少しプレーが雑になっていく。中野がまったくプレッシャーのないところでミスキックを犯し、ボールはラインを割る。

 今度はシンゴがナシメントとのワンツーでゴール中央でボールを受ける。DFが体を寄せ、ボールがこぼれる。そこへ走り込んだのは深沢。丁寧に左スミを狙ったシュートはわずかにポスト左。ヒザをつき、頭を抱えて悔しがる深沢。

 水戸は点を取られてからほとんどいいところがない。DFラインでボールをまわす新潟にもチェックにいかず、ゾーンで自陣を守り続けている。1分のロスタイムの間、結局新潟がボールを回して前半終了。

 新潟のキックオフで後半が始まる。後半も上がり気味な本間とシンゴのポジショニングも変化なし。水戸は木沢に簡単に突破を許していた菅野に代え、鳥羽を入れる。

 前半同様、両チームなかなかシュートまでもっていけない場面が繰り返される。ダイレクトパスもなければ、フリーランニングもない。正確なロングキックが蹴れるのも寺川と木沢のみ。他の選手は挑戦することさえない。かなりダラダラした試合になってきている。

 新潟は秋葉に代え、堂森を投入。だが堂森はパスが雑で奪われることが多く、さらに取られても走って追いかけないのでますます流れが悪くなる。水戸は奪ったボールを早めに前線に預け、左サイドからマイナスに折り返したボールをボレーで狙うが、ボールはゴールとは見当違いなところへ飛んでいき、ピンチをしのぐ。

 新潟は右サイドからの攻撃が多くなってくる。本間から堂森、DFをかわしてセンタリングを上げ、中央でフリーになっていたナシメントがヘディングシュート。しかしボールはわずかにバーを越える。

 今度は右サイドの本間から横パスを受けた堂森がワンフェイントでDFをかわし、ミドルシュート。これも大きくワクを外れてしまう。

 新潟はじょじょに攻め手がなくなってくる。中盤でのチェックが遅れたところを突破され、さらに右サイドからクロスが上がり、中央で頭でそらしたところをファーサイドでフリーになっていた鳥羽が右足でゴールを決める。

 お互いダラダラサッカーが続いていただけにこの1点をきっかけに展開が変わることを期待したがまったく変わらず。むしろ悪くなったようだ。それは太一、柴を投入しても変わらない。

 柴はファーストプレーでトリッキーなトラップでDFをかわし、シュートを放つが、ボテボテのシュートがGK正面を突く。太一はパスを受けてもすぐに後ろの木沢に戻してしまう場面が目立つ。

 去年の活躍が記憶にあるだけに太一のプレーにはため息がもれる。ドリブル突破はおろか縦パスすら出さない。無難にバックパスを繰り返す太一。さらにショルダータックルを受けると必ずといっていいほどボールを奪われてしまう。華麗なドリブルやスルーパスは影をひそめ、フィジカルの弱さだけが強調された結果となった。

 水戸は前線に1人だけ残し、カウンターのみを狙うシンプルな戦術を取る。基本的にボールキープしているのは新潟だが、ボールを持っていない選手の動きがほとんどないために足元だけでボールを回し、シュートが打てない。

 柴がもう1度トリッキーなトラップを見せるが、今度は簡単に奪われてしまう。奪ったボールを前線に当て、少ない人数で攻め上がる水戸。左サイドを突破し、中央でフリーの選手が手をを上げて呼んでいる。しかしボールはファーサイドに流れ、ことなきをえる。

 終了間際、堂森がミドルシュートを放つ。低い弾道でゴール左スミに向かっていったが、水戸のGKが指先でかろうじて弾き出す。

 1分のロスタイムの後、後半終了。スタジアム中からため息がもれる。うなだれる選手達。暑さの影響だろうか、選手の体力の消耗は激しそうだ。

 あらためてコイントスをおこない、延長戦が始まる。延長戦は酷いものだった。選手の体力は完全に底を尽き、ボールをつなぐことすらできない。前半チャンスらしいチャンスといえば寺川のスルーパスにナシメントが足を伸ばすがわずかに届かない場面ぐらいだったろうか。

 終了間際、ゴール前に飛び出した寺川がDFにひきづりたおされるが、主審はノーファールのジャッジ。観客から大きなブーイングが起こる。

 後半は完全に足が止まっていた。パスの出しどころがない寺川がドリブルで突破するも、うまく切り返せず転倒。ボールを奪われてしまう。

 水戸もカウンターからペナルティエリアの中で高橋のスライディングタックルをジャンプしてかわし、ゴール付近までドリブルで切り込む。ポストの近くでマイナスに折り返すと、ニアサイドの選手が空振り。しかしその後ろの選手が右足で合わせる。ゴンッと鈍い音とともにシュートはバーに当たって跳ね返る。頭を抱える水戸の選手。

 結局、延長戦はノーゴールで引き分け。勝ち点1を得るも順位は変わらず。引き分けとはいえ、またもや水戸にやられたというところか。それとも前節からひきづってきた内容の悪さから考える当然の結果なのかもしれない。

 この試合で木沢が警告を受け、湘南戦は欠場となる。木沢抜きで湘南相手にどれだけできるか。今季2勝をあげている相手だが決して油断はできない。その次が苦手の大宮なだけにここで勢いをつけたいところだ。

 
【スターティングフォーメーション】
4ー4ー2よりは4ー2ー4に近いフォーメーション。中盤の人数が足りず、攻撃は単発に、守備はカウンターを喫する場面が多い。4トップの原因となった攻撃的MFのポジショニングは最後まで修正されず。

【採点と寸評】

GK #20 木寺 6.5
失点の場面はGKとしてはしょうがない場面。体をはった飛び出しで水戸のシュートをブロック。

DF #2 木沢 7.0
不必要な警告はもらったが、正確なサイドチェンジ、ロングキックは攻撃のリズムを変えた。

DF #3 セルジオ 6.0
タイミングを見てのオーバーラップからの攻撃参加などもあったが、キックが不正確。

DF #14 高橋 5.5
空中戦は強かったが、1対1でかわされる場面が目立った。

DF #12 中野 6.5
攻め上がった際、1対1の局面では積極的にドリブル突破は狙ってチャンスを作る。

MF #6 秋葉 6.0
じょじょにコンディションが上がってきた。中盤での素早いチェックに加え、左足の正確なキックで攻撃の起点となる。

MF #13 寺川 7.5
ボランチの位置から果敢に前線へ飛び出す、両サイドへ正確なパスを通すなど孤軍奮闘。

MF #15 本間 5.0
上がり過ぎてトップの走り込むスペースを消し、サイドに張り過ぎて木沢の上がるスペースを消していた。中盤でのつなぎにほとんど参加せず。

MF #17 鈴木 5.5
ドリブル突破なども見せたが、本間と同じく中盤としての働きが少ない。

FW #8 ナシメント 6.0
くさびに入ることが少なく、ボールに触る回数も少なかった。

FW #23 深沢 5.5
質の高い動きをするものの中盤からパスが出ず。もうちょっと中盤に引いてもらう動きも必要。

MF #7 堂森 5.5
ミドルシュートなど良いプレーもあったが、全体的にプレーが雑。運動量も少ない。

MF #22 長谷川 4.0
パスのほとんどがバックパス。球際での弱さが非常に目立った。

FW #4 柴 6.5
トリッキーなトラップでチャンスを作るも、シュートが弱い。さらにゴール前の空中戦に参加する回数が少ない。

監督 永井 5.0
ハーフタイムに本間とシンゴのポジショニングは修正できなかったのか。そもそも4トップは約束事のひとつなのか。2人同時交代の必要も多いに疑問。

 
【記録】

2000年8月18日(金)19:04キックオフ
於 新潟市陸上競技場
【主審】片山 義継【副審】黛 俊行/河合 英治
アルビレックス新潟 対 水戸ホーリーホック

アルビレックス新潟
1-0
水戸ホーリーホック
0-1
0-0
0-0

0 GK 20 木寺 浩一
0 DF 2 木澤 正徳
0 DF 3 セルジオ
1 DF 14 高橋 直樹
1 DF 12 中野 圭一郎
1 MF 6 秋葉 忠宏
4 ( 63’~ 7 堂森 勝利 )
1 MF 13 寺川 能人
3 MF 15 本間 勲
0 ( 80’~ 22 長谷川 太一 )
4 MF 17 鈴木 慎吾
2 FW 8 ナシメント
1 FW 23 深澤 仁博
1 ( 80’~ 4 柴 暢彦 )
 
監督 永井 良和

GK 1 本間 幸司 0
DF 2 山村 泰弘 0
DF 3 渡辺 卓 1
DF 16 菅野 賢一 0
( 45’~ 5 鳥羽 俊正 ) 1
DF 22 木山 隆之 0
MF 13 北島 義生 2
MF 15 村田 教生 2
MF 17 笠原 宗太 1
MF 37 ペレス 1
FW 11 ジョン パウロ 1
( 31’~ 23 北川 佳男 ) 1
FW 36 クレーベル 1
( 71’~ 24 冨田 大介 ) 1
 
監督 バビチ ブランコ
 

得点者
33′ 鈴木 ナシメント
67′ 北川 鳥羽 俊正
 
警告
112′ 木澤 正徳
43′ 北島 義生
 
退場
 
13 GK 16
10 CK 6
14 FK 11
0 PK 0