2005.04.25 ジーコよ、これがJリーグだ 

 都合により新潟のスポーツバーでの観戦になったが、国立での東京ヴェルディ戦は、両チームとも攻撃的で、ゴール前の攻防が多く、非常に面白いゲームだった。やはり、サッカーはこうでなくてはならない。中盤での激しいつぶし合いこそサッカーの魅力、削って削られて、笛がピーピー鳴りまくるシーンこそ男の浪漫だと言いきる人は、おそらくあまり共感を得られないだろうから、そっと心に秘めておくのがよい。あなたにふさわしい場所はほかにある。多分。
 話は戻る。縦に早い攻撃でダイナミックにゴールを目指す新潟と、ディフェンスライン、中盤の緩やかなパス回しから緩急つけた豊富な攻撃パターンでゴールを目指す東京V。ゴールへのアプローチの仕方は異なれど、やはりサッカーの華はシュートだ。かつて、クライフは言った。「5点差以上開いたら、シュートはバーを狙え。お客さんが喜ぶ」。これは極端な例にしても、このゲームはシュートが枠に行く率が高く、両チームゴールキーパーの活躍もあって、2-2のスコア以上に興奮する試合だった。やはりJリーグは面白い。なぜか会場にいたジーコも、人目をはばかることなくVIPシートで「ガッテンボタン」を連打していたはずだ。そして、帰り際、彼の手帳には「ウメヤマ」の文字が踊っていただろう(笑)。

 正直言うとヴェルディはとても気になるチームだ。まず、チームカラーが良い。グリーン。グリーン&ホワイトを基調とするジャミネイロ(※筆者所属のチーム)と同じだ。そして、中盤のパス回しがイカしている。パスは相手ディフェンダーの足がもっとも近づいたときに出すのが効果的だが、中盤がコンパクトになったモダンサッカー(死語だな、これは)においても、相手をあざ笑うかのように巧みにボールをキープし、ぐいぐい回すことができる。しかも、このチーム、単なるダラダラのパス回しではなく、突如ペースをあげ、一気にフィニッシュまで繋ぐことも可能。サッカー経験者なら誰もがその技術の高さに舌を巻き、それと同時に憧れを抱くはずだ。俺たちもこんなサッカーしてみたい、と。

 もっとも、だからといって新潟のサッカーが嫌いなわけはもちろんない。プレーして楽しいのはヴェルディのそれかもしれないが、観戦する分には新潟のサッカーは実に魅力的だ。さすがにこの時代において、未だに縦に早い新潟のサッカーをリアクションサッカー、守備的戦術と揶揄するサッカーファンもいないであろうが、少ないタッチでボールと人が、スピーディに、ダイナミックにゴールに迫っていく様子は、スタジアムの熱狂を加速させる大きな要因の一つだ。新潟はシュートもよく打たれるが、ゴール前にもよく迫る。これをもってスペクタルと言えるのかわからないが、序段で述べたとおり、サッカーの華はやはりゴール前の攻防である。こういう良くも悪くも攻撃的なチームが地元のクラブであることに感謝しなくてはならない。ダイレクトプレー全盛の中、あくまでもポゼッションサッカーにこだわるヴェルディも見事だが、効率性と娯楽性を両立させた新潟ももちろん天晴れなのである。

 ということで、私的に好きな2チーム同士の戦いは期待に違わぬ好ゲームで、スポーツバーで費やした飲食費以上の満足を与えてくれた。フレンチポテトと感動をありがとう!

 いや、違う。全く違う。この2日経っても消えないモヤモヤ感はなんだ?

 おそらく、フレンチポテトをリバースしても消えないモヤモヤ感は、今週木曜の清水戦で解消するしかない。テーマは「失われた勝ち点2を求めて」。清水といえばサイド攻撃だが、今シーズン何度も見た嫌なシーンは、各自で封印してもらい(苦笑)、失われた勝ち点2を求めて新潟スタジアムに集結しましょう。次の試合、柳生博が突如登場し、にこやかにハンターチャンスを宣告して、鹿島あたりから勝ち点2を奪えないかしらん。

2005年4月25日 浅妻 信

PROFILE of 浅妻 信
あさつま まこと 1968年生まれ。新潟市出身。新潟高校卒業後、関西で長い学生時代を過ごす。アルビレックスとの出会いは99年のJ2リーグ開幕戦から。以来、サッカーの魅力にとりつかれ、現在に至る。2002年、サポーターのみでゼロから作り上げたサポーターズCD「FEEEVER!!」をプロデュースして話題に。現在もラジオのコメンテーターだけでなく、自ら代表を務める新潟県社会人リーグ所属ASジャミネイロの現役選手としてフィールドに立つなど多方面で活躍中。