1999.07.04 第16節 MatchReport 仙台×新潟

1999年7月4日(日)14:00キックオフ
於 仙台スタジアム
ベガルタ仙台 対 アルビレックス新潟 ○ 0-3

 
 梅雨の中休みの晴天にめぐまれ、国内屈指の仙台スタジアムに約8800人の観客を集めJ2第16節ベガルタ仙台ーアルビレックス新潟が行われた。

 前節ホームで鳥栖に5ー2で完勝した新潟にとって、これからの強豪相手との対戦に弾みをつけるためにも、ぜひとも勝っておきたいゲームである。一方仙台はいまだホームで勝ち星がないうえ、現在7連敗中と調子が良くない。しかし前回の対戦では仙台が3ー0で新潟の開幕からの連勝をストップさせている。新潟は攻守の要である秋葉が累積で出場できず、代りに筒井がボランチに入る。仙台も前回の対戦で活躍した阿部、御厨がケガで欠場とともにベストメンバーではない。

 試合が始まって最初にシュートを打ったのは仙台、しかしシュートは力なく吉原の胸におさまる。このあとも仙台が押し気味に試合を進める。ボランチのニクソンを起点にテクニックのある選手がドリブルをしかけ、新潟DFを翻弄。新潟DFはラインを押し上げることができずに、押し込まれ始める。新潟は千葉直のまずいディフェンスから、単発的に攻撃をしかけるものの押し上げが少なく攻撃に厚みがでない。また初スタメンの筒井のポジショニングが悪く、中盤の形が崩れ、リズムを変えることができない。具体的にいうならば良いときの新潟の中盤は攻撃的MFのリカルド、水越とボランチの瀬戸、秋葉の距離が近く、中盤の4人はフラットに近い形でプレスをかける。しかし今日は筒井のポジションが低すぎ、結果として中盤で数的不利となり、ニクソンをフリーにしてしまっている。

 仙台も攻め込むもののシュートが打てない。ペナルティエリアの中までボールを持ち込みながら、結局クリアされてしまう。ときおり見せる高田の頭を狙ったハイクロスもこぼれ球を拾えず、効果的な攻めにならない。両チームの攻めが形にならない理由のひとつにミスの多さがあげられる。両チームともミスからピンチを招いている。先制点はやはりミスから生まれた。

 自陣ペナルティエリアで仙台のDFがチェイシングをかける鳴尾にドリブルでかわそうとする。ここは定石ならばサイドにクリアすべき場面である。ボールはこぼれ、サウロが拾いゴール前にパス、それを鳴尾がプッシュ、新潟が先制した。喜ぶ新潟の選手、うなだれる仙台の選手ともにサイドに給水へいく選手が目立つ。ピッチ上はかなり暑いようだ。そしてこのまま、前半を終了する。

 後半が始まってすぐちょっとした騒動が起きる。

 ファールを受けた木沢がFKをなかなか蹴らず、ブーイングする仙台サポに手を振る余裕を見せる。その木沢の足に仙台FWがタックル。この時点で仙台のあせりが出ていたのかもしれない。ここから1点を取った新潟が攻め始める。

 仙台は運動量が落ち、ほとんどボールを前線に運べなくなる。新潟の得意な形、ハーフウェイライン近くでボールを奪い、人数をかけずにシュートまで持って行く攻撃を繰り返す。たまらず仙台DFが鳴尾を倒す。

 ペナルティエリアすぐ外のFK。キッカーは前節ハットトリックを決めているリカルド。新潟ゴール裏は怒号のように「リ!カ!ルド!」コールを繰り返す。ボールは綺麗にネットへ吸い込まれた。新潟が2点目を決める。

 この1点でさらに新潟が攻め、仙台の運動量が低下する。新潟ゴール裏はサウロが決定的チャンスを逃しても、笑顔は消えない。3点目が入ったのは永井監督がサウロに代えて鈴木を投入するための交代用紙を提出した直後だった。

 このゴールが決まった瞬間、仙台の選手は走ることをやめた。新潟がボールを回してもチェックする選手はいない。チャンスとばかりセルジオがオーバーラップをみせる。結果は自滅。取られたボールを無理に奪おうと仕掛けたスライディングタックルに主審は迷わず、2枚目の警告を掲げた。

 11対10。この数的有利も仙台の選手には関係なかったようだ。交代で入ってきた選手がウルトラマンのように3分間のみ走ることをのぞけば退場があるまでと違いはない。負けグセがつくとはこういうことを指すのだろうか。最後はゴール前で花山が鳴尾をたおし、一発退場。このFKは残念ながら壁にあたりゴールならず、試合終了。後半、山のようにあったチャンスを考えると3点というのは物足りなく感じる。セルジオの退場と合わせ、決して満足のいく試合ではない。ただ中断明けで5ー2、3ー0という数字は他チームにとってどううつっているのだろうか。

【採点と寸評】

GK #20 吉原 6.5
何回かパンチング、キャッチングの判断ミスがあったものの、無得点に抑える。ほとんどミスなし。ただしキックの正確性に難あり。

DF #2 木沢 6.0
今日も攻め上がりをおさえ、守備に重点をおいたプレー。非常に落ち着いていたが、あっさりボールを奪われるシーンもあった。イエローをもらった場面ではセルジオが抑えなければレッドになった可能性あり。ブーイングする仙台のサポーターに手を振る余裕を見せるが、すぐ相手の挑発にのってしまうのは主将としていかがなものか。とくに最後の裏を取られておいて走らないところなど不満は多い。

DF #3 セルジオ 5.5
守備面ではDFラインの押し上げを忘れた以外はほとんどミスもなかったうえ、キレる木沢をいちはやく抑えるなど非常に勝利に貢献。だが2枚目の警告につながる軽率なプレーは非常に残念。次節は首位の大分戦であること、3対0で勝っているという状況から判断すれば、セルジオが攻め上がる必要はなく、またタックルにいく必要もなかった。

DF #4 柴 6.0
ほとんどDFラインの押し上げをせず、前半の苦戦を招くことになった。オフサイドは1度も奪えず。
それ以外は十分な働き。次節の大分戦は柴の古巣でもあり、セルジオの欠場から柴への負担がふえるものと思われる。

DF #12 中野 6.0
しばしば1対1で抜かれピンチを招く。攻撃面はうまくリカルドへつなげていた。特筆すべきは吉原がボールを取ったとき、ボールをもらえるように広がるスピード。木沢とともに速攻の足掛かりを作った。

DF #5 藤田 6.0
セルジオの退場の後、CBでプレー。特に良かったところも悪かったところもなかったが、無難にこなしていた。次節の大分戦ではスタメンの可能性が高い。

MF #8 筒井 6.5
前半はポジション取りが低く、ニクソンをフリーにしてしまい、左右に振られ、ピンチを招く。前半20分過ぎにリカルドが自分がニクソンのマークについたほうがいいのではとのジェスチャーにいや自分がマークするとしておきながら、ニクソンとの距離が大きくとり過ぎ、前半のドタバタにつながった。後半からは中盤を流動的にし、ときにはスクウェア、ときにはダイヤと形を変え、ニクソンを封じた。

MF #7 瀬戸 5.5
鳥栖戦にくらべ、運動量が少なくあまりボールにからめず。筒井とのボランチには最初戸惑いをみせ、プレーに迷いが見えた。またペナルティエリアすぐ外でのミスパスなどらしくないプレーが目立った。しかしセルジオ退場後はCBも無難にこなすところはさすが。

MF #6 水越 7.0
いつもの激しいチェックに加え、今日は攻撃面でのプレーエリアが広がった。いつもは右から中央にかけてが多かったが、今日はときおり左サイドラインギリギリまでポジションを変え、仙台DFをかくらん。後半からはハーフウェイライン近くでボールを奪い、多くのチャンスを作る。リカルド交代後はもっと積極的にボランチからボールを受ける動きをしないとキビしい。

MF #9 リカルド 7.5
相手のマズい守備からフリーになることが多く、チャンスを量産。非常にゴールへの意欲が感じられ、ロングシュートも見られた。特にハーウェイラインからサウロ、鳴尾との速攻は非常に効果的で、勝利に貢献。2点目となるFKは勝負を決定付ける貴重なゴール。鳥栖戦といい、いまもっとも好調な選手である。

MF #17 鈴木 5.5
追加点のチャンスとなる1対1を外したのは今後を考えると痛かった。完全にやる気を失っていた仙台相手にはもうちょっとできる選手であるはずである。

MF #16 小林 ー
出場時間が少なく採点できず。あえて言うなら長谷川にくらべ視野の狭さが目立った。

FW #10 サウロ 6.5
非常にミスが少なくなってきたが、何より派手さを求めるプレーを好むのは相変わらず。1対1ではせめてシュートを打ってとめられる方が良く、シュートを忘れ、DFを突き飛ばしてファールなどもったいないプレーがあった。しかし速攻の起点となっていたのはサウロのかかとであり、チームにいるといないで全然得点数が変わってくる。でもあからさまなPK狙いのダイブは疑問。

FW #11 鳴尾 7.0
半ばラッキー的要素を含む先制点も鳴尾のあきらめない執ようなチェックから生まれている。またゴールへの気迫もおおく感じられ、惜しいシュートも何本かあった。水越とともにハーフウェイライン近くでの激しいチェックが後半の多くのチャンスを作り出した。また得意のDFと体を入れ替えるプレーから退場を誘うなど今日のMVP。

監督 永井 6.0
およそ予想通りの采配が見られた。一応状況にあっているのだが結局かわりばえしない采配ともいえる。あいかわらず流れをこわす交代はしないことは評価したい。

アルビサポ ー
カゼひいてるのに迷わず仙台入り。
もちろん悪化。前回、筒井に対しての評価から今回は筒井中心の観戦。
しかし、あいかわらず試合中は叫び、毒づき、まわりの失笑を買う。
小瀬での反省(ほうとうが楽しみって言ったら負けた)から「今回は食べ物の話しはやめよう。仙台へは食べに行くんじゃない。応援しに行くんだ。」と熱く語っておきながら、仙台行くまでに鮎の塩焼、玉こんにゃくを食べ、仙スタ着いたら結局ベガ弁も食べ、これも失笑を買う。

 
15日の川崎F戦も行きます。ホームは全部行くつもりです。今年は目標30試合なので。