2006.03.27 2連敗にも膨らむ楽しみ

 鈴木新監督を迎えて5試合を終え、2勝3敗、得点が5、失点が12。昨シーズンは5試合を終えて2勝2敗1分け、得点が7、失点が12。もちろん対戦相手や日程が違うので単純に比較はできないが、ほぼ同じような成績だ。エジミウソン頼みの攻撃、失点のかさむ守備も相変わらずだが、監督交代や世代交代という面を考えれば鈴木監督はよくやっていると思う。

 鈴木監督になってもっとも変わったのは中盤の構成だ。今までは2列目の選手はサイドに開いていることが多かったが、今シーズンは流動的にポジションチェンジを繰り返す。慎吾が右サイドでプレーすることもあるし、ボランチの勲が前線へ飛び出すこともある。サイドへ張らない分、ボールサイドに人を集めて数的優位を作り、逆サイドの開いたスペースにはサイドバックが上がってくる。そうすればサイドバックは前を向いてスピードに乗った状態でボールを受けることができるのでドリブルやワンツーで突破しやすくなる。そこで攻撃力のある幸治郎や慎吾をサイドバックで起用したいのだと思う。

 5試合を終えて最も理想の形に近いのがFC東京戦(第2節)だろう。前線から激しくプレスをかけて、中盤で相手を囲い込み、高い位置でボールを奪う。これならばDFラインにそれほど負担はかからない。逆にいえばDFラインに負担がかかる守り方では慎吾や幸治郎がサイドバックに入るのは危険すぎる。いかに中盤でボールを奪い取ることができるか、これが今後の失点に大きく影響してくる。

 世代交代という面でも矢野、中野、亜土夢といった若手選手をうまく起用している。特に中野のスタメン、しかもセンターバックへの抜擢には正直驚いた。だがスピードとポジショニングの良さで身長差をまったく感じなさせないプレーぶりを見せている。高い位置からプレスをかけていくとどうしてもDFラインと野澤の間に大きなスペースが生まれる。そこをカバーするには中野のスピードが欠かせない。開幕戦こそマークのずれが多々あったが、それ以降はほぼミスもなく、すでにチームに欠かせない選手になりつつある。

 FC東京戦のパフォーマンスが毎試合出せればかなり上位に食い込むことができるだろう。だが、それがなかなかできない。失点すると途端に足が止まってしまう。チームとしての若さが悪い意味で出てしまっている。とにかく気持ちで負けないこと、走り負けないこと、当たり負けしないこと、それが新潟のサッカーには欠かせない。

 鈴木監督はいかに選手のモチベーションを引き出すか。そして流れを変える選手交代、ケガや警告累積によるスタメン変更、まだ鈴木監督が見せてない「手」はたくさんある。

 まずは2連敗後のチームをどう立て直すのか、ナビスコカップをどう戦うのか。これからファビーニョや永田がケガから復帰してくる。楽しみはまだまだ尽きない。 

2006年3月27日 岡田 正樹

PROFILE of 岡田 正樹
おかだ まさき 1978年生まれ。新潟出身。アルビレックス初観戦は99年のJ2開幕戦から。以来、ほとんどの週末をスタジアムで過ごす生活を送る。6歳からサッカーをはじめ、現在は新潟県リーグASジャミネイロでプレー。好きなサッカーの楽しみ方はやること、見ること、書くこと、読むこと、考えること。