ついこの間、雪の関越道をビクビクしながらビッグスワンへと向かったと思ったら、もう、蝉の鳴き声が暑苦しいと感じる季節である。
天皇杯を入れたとしても、もう2007年シーズンの約半分が過ぎた。ナビスコカップの決勝トーナメント進出が叶わなかったのは本当に残念な出来事だったが、ちょうど中断期間に入り、18節終了時点で、9勝4敗5分の勝ち点32、得失点差+4。過去の成績と比べれば堂々の成績である。
これも、チーム全体のいろんな努力の積み重ねの結果であろうし、鈴木監督が就任してから、一貫してブレることなくやり通してきた結果なんだろうと思う。勿論、今の成績が結果という訳でもなく、アルビレックスのサッカーはこれからもずっと続く訳で、そんななかでチームの状況も浮き沈みが当然の様にあるだろう。そんななかでも楽しく、正しく、アルビレックスのサッカーと向き合いたい、そんな気持ちで今回書いてみた。
昨年、フクアリで札幌に負けてから、ずーーっとモヤモヤした感覚が無くならなかった。一昨年は磐田で負けはしたけれど、どこかやるだけやったという達成感というか、諦めというか、とにかくシーズン終わったなって感じがした。ところが昨年はいつまでたっても全然そんな気持ちになれず、モヤモヤモヤモヤしていた。
自分のなかで一番困ったのは、そのモヤモヤの原因が分からなかったってことだった。負けた相手がJ2だったから? 最後が連敗で終わったから? PK外したキショーに対しても、あの緑に染まったユニフォームを見たら文句言えるヤツなんかいないだろう。ブログで総括などと称して1年振り返って、自問自答しても結局よく分からなかった。
今年2月に行なわれたカンファレンスの議事録の「初心者のためのサッカー講座」などの必要性についてのやりとりを読んで、新潟がやっているサッカー、目指しているサッカーはこういうものなんですよ、こういうところを観に来て下さい、という積極的な姿勢がもっと欲しいって思った。それは一例だが、今自分達には案外欲しい情報が少ない。
前任者と比べるのは失礼とは思いながらもあえてさせて頂くと、ソリさんは試合中に出した宿題の答えを、早ければその後の記者会見で自ら話してくれることも多かった。(ただ単に本人が喋りたかっただけかもしれませんが)当時と比べると、やっているサッカーは複雑になっているはずなのに、むしろ当時より欲しい情報は減っている気がする。監督は余計なことは喋らない、チームとしてもメディアでは当たり障りの無いことしか言わない。いろんな部分に投資して、いろんな意味で質が上がって、クオリティの高いサッカーがそこにあるはずなのに、自分のモヤモヤの原因は、分からないことが多過ぎたってことだったんだと思う。
なんであのとき、ああいうプレーをしたんだろう? とか、なぜあの選手が出て来たのにああいう攻め方だったんだろう? とか、細かい所で分からないことが多過ぎた。昔から見慣れた選手が窮屈そうに見えたことも多かった。
決して説明責任があると言うつもりは無いんだけど、ダイレクトなサッカーでJリーグでよい成績収めたチームが“ポゼッションもやってみるぅ?”的にポゼッション試して落ちて行ったチームをいくつも見ている自分にとって、鈴木監督が就任してポゼッションサッカーをやると言ったとき、相当な覚悟をした。だから、ダメだったときでも、もっともっと鈴木監督のサッカーが知りたいし、もっともっと楽しみたい。
ピッチのなかでとても面白いことが起きていたのに、それが自分に分からなかったとしたら、そう思うととても悔しい。
勿論監督にとってそれが大きな負担になるようでは、本末転倒な話だし、それならそれで会社としてそういう部分があれば補っていただきたいと思う。記者会見でのメディアの方々も、もうちょっと突っ込んだ質問をして欲しいし。(ヒーローインタビューもな)
自分としては、ソリさんとは流派は違うと思うけれども、相当のサッカーオタクとお見受けする(当然褒め言葉です)鈴木監督からいろんなことを教えて貰いたいと言うのが本音だったりする。
黙っているのは勿体ない。新潟が本当の意味でサッカーどころになるには、まだまだまだまだ先が長い。だからこそ、新潟がやっているサッカー、目指しているサッカーを知りたいし、もっともっと楽しみたい。
2007年7月9日 16時28分 村山 友康
PROFILE of 村山 友康(むらやま ともやす)
1967年生まれ。十日町市出身。神田先生が新潟に帰って来たということで、市陸で初観戦。元々浦佐の温泉旅館”てじまや”の主人とその周辺の人達が応援に出かけるために出していたバスを他人である村山が途中からバスジャックに成功。通称「魚沼バス」としてプロデュースし、アルビの観客動員に貢献している。ちょっと堅気には見えない顔をしているのが難点だが、魚沼周辺でアルビの友達を作りたい人は勇気を持って話しかけてみよう。(浜崎一さんより)