2005.04.18 新戦力を見てきました 

 ジュビロ戦、そしてサテライトのレッズ戦をみてきた。結果はともに残念であったが、天候にも恵まれ、地元にサッカークラブがあることを大いに感謝し、楽しんだ2日間だったのではなかっただろうか。トップチームの試合は皆さんご覧になっているだろうし、折角の機会なので、今日はサテライトの試合を観戦記という形で振り返ってみることにする。
 
 サテライトの試合を見るのは今シーズン初めてだ。トップチームが現在、コンディション等の問題があるとはいえ、昨年とほぼ変わらないメンバーで戦っているのに対し、サテライトは期待の高校生ルーキーズを中心に新顔がズラリ。名前だけ知っていて、実はその人のことをよく知らないというのは、私的に、日常生活では許されても、サッカーの世界では許されるべきことではない。同じようなことを考えたのが5000人近くいたらしく、会場の新潟スタジアムは、急遽Nスタンドまで開放するなど大にぎわいだった。

 スタメンはトップチームと同様の4-3-3風だが、優蔵が前線中央にドカンと位置するため、4-1-4-1に近いか。GK木寺。ディフェンスラインが左から青野、直樹、藤井、梅山。MFは萩村、宮沢、大谷。この3人に比べてアンデルソン・リマ、中村幸聖がやや前よりに位置する。前日、交代選手としては結構長い時間プレーした優蔵、リマがスタメンに入ってくるあたり、次節ヴェルディ戦を見込んでのテストなのかという気もしてくるが、二人とも個性的で、見ていてわくわくする選手なので、テストだろうがなんだろうが大歓迎である。リマのFKの怖さはさすがに各チームに浸透しているらしく、前日の試合でも、ペナルティエリア付近でファールを誘発しようとする優蔵に対し、ジュビロのDFが躊躇し、足を引くという場面も見られた。この二人、果たして名コンビに成りうるだろうか。

 前半、その注目の二人を擁するアルビレックスは効果的な攻撃を展開したとは言えなかった。前線に絶対的なターゲットマンがいたことにより必然ロングボールを多用したが、トップチームに比べると精度にやや欠け、また、ポジション的にエジミウソンの位置に入ったリマは、エジのように運動量、スピードを生かして、スペースを切り裂き、サイドで起点になるということがなく、それどころか、ボールを持っても、パスの受け手がないため、バックパス等によりビルドアップを余儀なくされたシーンが目についたのである。とても彼のキャラクターが生かされた配置とは思えなかった。
 中盤に山口がいなかったことが大きかったかもしれない。確かにレッズの中盤のプレスはよく効いていたが、こういう状況でも、パスを自在に振り分け、局面を打開するのが山口である。ある時にはタメを作って押し上げる時間を作り、またある時は一気に相手の急所を刺す。こうした絶対的なゲームメーカーが不在だったことも、攻撃が機能しなかったことの要因であろう。

 なお、サテライトメンバーの名誉のためにも言っておくが、皮肉なことに船越、リマが下がり、普段からやっている(?)メンバー中心で戦いだした後半途中からは俄然パスが回り、レッズを圧倒。得点こそは奪えなかったものの、何度も相手ゴール前まで迫っていたことを付記しておかなくてはならない。サッカーは足し算ではなく、組み合わせの競技ということを改めて見せつけられた次第。くぅ、奥が深い。

 さて、嫌らしい素人分析をして粋がるのが当コラムの趣旨ではないが、最後にもう一つだけ言わせてほしい。インターネットの掲示板等を見ていても、ミスを犯した選手に対する批判ばかり目について嫌になってくる時がある。よく言われることだが、サッカーはミスの競技である。ミスをするのは当たり前であり、大事なのは同じミスを繰り返さないこと。
 たとえば、当たり前のミスとしてパスミスがある。我々サポーターとしても、リスクを冒して出した意味のあるパスミスなのか、単なるパスミスなのかを見極められるようにならなくてはならない。リスクのないところには得点の香りもしないことは充分に理解できよう。セーフティパスばかり選択する選手は害にもない代わりに、得にもならないのだ。
 再び、今日の試合に戻るが、左サイドバックに入った青野の、自陣奥深くから放たれた右サイドのスペースを走る河原へのロングパスは、糸を引くような美しい軌道とスピードで、一気にチャンスを創出し、事実シュートまで繋がった。これが運悪く相手にカットされた場合、あなたは大きなため息をつくだろうか。確実につなげ、と罵倒するだろうか。答えは否であろう。河原のフリーランニングに反応したこの美しい軌道に心震わされなかったとしたら、あなたはサッカーの何に魅力を感じるのだろうか。

2005年4月18日 浅妻 信

PROFILE of 浅妻 信
あさつま まこと 1968年生まれ。新潟市出身。新潟高校卒業後、関西で長い学生時代を過ごす。アルビレックスとの出会いは99年のJ2リーグ開幕戦から。以来、サッカーの魅力にとりつかれ、現在に至る。2002年、サポーターのみでゼロから作り上げたサポーターズCD「FEEEVER!!」をプロデュースして話題に。現在もラジオのコメンテーターだけでなく、自ら代表を務める新潟県社会人リーグ所属ASジャミネイロの現役選手としてフィールドに立つなど多方面で活躍中。