2006.12.04 Muito Obrigado

 ファビーニョはアップの時から既に泣いていた。スタンドを見ると試合が始まってないのに既に泣き出しているサポーターも沢山いる。ファビと観客が一緒に泣いているのを見てこれほどサポーターと一心同体になれる選手はいないと改めて思い知らされた。J2時代の札幌戦、広島戦の大車輪の活躍が目に浮かぶ。4年間ありがとうファビーニョ。

 今回の大型解雇は12人。梅山、喜多、青野、岡山などJ1昇格後に加入した選手だけでなく、船越、健太郎、尾崎、優作などJ1昇格のために活躍してくれた選手たちともお別れをしなければならない。当時の選手、監督からは「昇格する事が出来たのはサポーターのおかげ」とよくいわれたがそれは違う。アルビレックス新潟が今J1で戦う事が出来るのは練習場も無いのに彼らが全力で戦ってくれたおかげだ。今思い出してもよく昇格できたなぁと思ってしまうのだが、3年前の最終戦でも対戦相手は同じだったけど当時の新潟のバックラインは左から靭帯負傷中の健太郎、骨折を隠していた丸山、当時絶不調だったアンデルソン、センターバックが本職の直樹と本当にギリギリの布陣だった。2003年のシーズンを戦い抜き、その後もJ1に留まっていられるのは文字通り自分の体を削りながら戦ってくれる選手達が居たからだ。2002年から在籍していた船越を筆頭に馴染みの選手達にさよならを言わなければいけないのが辛い。

 さて、泣き言ばっかり言っていても前に進めないので持ち前の切り替えの早さを出して前向きな考え方をしよう。(疲れたから口調も元に戻す)今季最後に加入してきた松下の背番号は35。サッカーはスタメン11人、ベンチ7人のスポーツである事を考えるとこの35という数字はかなり大きい。来期は是非、30番台の背番号を見せることなく今季以上の質の高いサッカーを見せてほしい。鈴木監督にとって今季のオフは新潟で迎える初めてのオフ。自分の理想の陣営に少しでも近づける最初のタイミングといえるだろう。今シーズンは反町監督が築いた基盤のうえで戦ってきたが、来期は自分の基盤で戦う事が出来るはずだ。

 今年の鈴木監督のサッカーを見て気づかされた事は鹿島、ガンバの強さと質の高さだ。共にアウェイの試合で0-3、1-5と惨敗したのだが、結果とは裏腹に内容は素晴らしい時間帯も多かった。相手のストロングポイントを抑える反町サッカーでは気づく事無く90分が終わっていたのだが、自分達のサッカーを狙う鈴木サッカーでは相手とがっぷり四つに組み合う時間が多く、それだけ内容のある試合を見る事が出来る。サッカーというゲームをより面白く見られるのが鈴木監督のサッカーだと言う事が良く分かった。もちろん0-7、0-6なんて結果を見せられるのは勘弁してほしいが、僕は鹿島の野沢選手の鋭い切り替えしや飛び出し、ガンバの遠藤選手と二川選手の流れるような攻撃を見て「いつかは自分のチームでも」と思わずにはいられないのだ。ってことでこのオフは僕らサポーターもサッカーのお勉強をしておきましょう。トップチームが内容のあるサッカーを目指しているのだから、僕らもその内容を理解する必要がある。慎吾やアトムの鋭い飛び出し、シルビーニョの抜群のキープで拍手喝采が起こるようなスタジアムにしよう。

 高くて険しい山を遠くから見ているだけではその位置に登ることは出来ない。僕は鈴木監督の挑戦するサッカーが好きだ。来年もその挑戦する気持ちを失わずに頑張ってほしいと思う。欲を言えばもう少しメディア対応でも挑戦してもらって、ファンの心をくすぐる技を身につけてほしいと思う。鈴木監督が「○○スタジアムをオレンジ色に染めてほしい」と言ってくれれば、それだけでアウェイをホームにする事が出来る。僕らはそういうクラブなのだから。

 このコラムで今シーズンのサポーターリレーコラムはおしまいです。クラブ、MSNの関係者の皆さん、僕に機会を与えてくれてありがとうございます。そしてこのコラムを楽しみにしてくれた皆さん、どうもありがとうございました。来期の動きはまだ未定ですが僕自身、楽しみながらこのコラムを書く事が出来ました。まだ天皇杯が残ってますから、続きはブログのほうで書いていきます。では皆さん、国立目指して頑張りましょう!

2006年12月4日 18時19分 浜崎 一

PROFILE of 浜崎 一
はまざき はじめ 1977年生まれ。神奈川県出身。1999年、新潟大学在学中にJ2に昇格したアルビレックスに出会う。当時のキャプテン木澤選手のクロスに感動しスタジアムに通い、2000年からはゴール裏で観戦。選手のプレーをよく見る現在のゴール裏の流れを作った。29歳の今も現役の県リーガーとして活躍?中。