2007.05.28 逆境を乗り越える

 ナビスコカップの敗戦から中3日。いやまさかこんなにすばらしい気分にさせてくれるとは。正直、この結果は予想外。相変わらずわけが分からんチームだ。

 この試合はなんと言っても千葉のボランチ起用がよかった。これにより2002年、安英学がスタメンだった頃の闘う中盤が復活。千葉の特徴は前への意識を強く持っていることで、バックラインでボールをトラップするときに千葉はトラップを必ず1~2m前にトラップしていた。こうすると、自分のボールを自分で追いかけながらプレーすることになり、必然的にスピードに乗ったプレーが可能になるのだ。まさかボランチでやらないだろうなと思っていたのだが、ボランチでは何と3~4mは前にトラップするシーンもあったではないか。しかしそのプレーはどうやらきちんと状況判断しながらのプレーだったようで、しっかり速攻の起点となっていた。皆さんも是非、この千葉の「全力トラップ」を愛でてほしい。(千葉選手の好きな言葉は「全力」)

 この試合の勝利は大きい。なんと言ってもシルビーニョが離脱してから初の勝利だ。昨年サポーター投票でもダントツのMVPだったシルビーニョは寺川を影として背後を守らせ、シンゴを、松下を自由に使い攻撃のタクトをふるい続けてきた。そのシルビーニョの役割を千葉が果たしているわけではないが、勲とマルシオが自由にボールを回せるように千葉は自分の役目を果たしていたことに、皆さん異論はないだろう。試合が終わってみれば納得するが、試合前は正直言ってここまではまるとは思っていなかった。千葉がボランチで使える目処が立ったこと、エジミウソンが吹っ切れたような活躍を見せたこと、貴章が所狭しと走りまくっていたことなど、この先、リーグ戦を戦い続けるに当たってこの試合で得たものは勝ち点3以上に大きい。

 さて、先ほど千葉選手の好きな言葉が「全力」だということを紹介したが、その記事の一番下の段落を読んでみてほしい。

 校訓が「全力」というもので、教室にもずっと張ってあった

 そう。これである。この全力スピリット。マンガや映画で話題になった「逆境ナイン」というストーリーを見たことがある人は多いだろう。いや、凄く多いはずだ。昨年アルビレックスが逆境のど真ん中にいた頃、サポーターの間でやたら流行ったストーリーだからだ。細かい部分は是非見てもらうとして、この逆境ナインの主人公たちが通う高校はその名もずばり「全力学園」であり、校訓は「全力でないものは死すべし」である。そう。賢明で都合よく解釈してくれる皆さんならもうお分かりであろう。まさにこれは千葉和彦そのものではないか!

 今年のリーグは例年以上のお団子リーグになっていて、アルビレックスは現在10位であるものの、実は3位争いをしているグループになる。(3位と勝ち点差2!)主力の離脱やナビスコカップでの不甲斐ない敗退など逆境は確かに多い。正直言ってゲーム内容だって最近は不安定だ。だが、そんなときだからこそ、この逆境を跳ね返す必要があるのだ。千葉の全力プレーに、僕らも全力で応えよう。それがマイチームを逆境から抜け出させるきっかけになるはずだから。

 ちなみに逆境ナインのストーリーでは9回表の時点で112対3という109点差を逆転することに成功している。半ば全力学園出身といえる千葉要する新潟なら、昨日の再逆転勝ちなど、当然の結果といえるだろう。闘え!千葉和彦。闘え!新潟。

2007年5月28日 17時42分 浜崎 一

PROFILE of 浜崎 一はまざき はじめ
1977年生まれ。神奈川県出身。1999年、新潟大学在学中にJ2に昇格したアルビレックスに出会う。当時のキャプテン木澤選手のクロスに感動しスタジアムに通い、2000年からはゴール裏で観戦。選手のプレーをよく見る現在のゴール裏の流れを作った。30歳の今も現役の県リーガーとして活躍?中。