選手だけじゃない、スタッフだけじゃない、サポーターだけじゃない、チームだけじゃない。やっぱりすべてを含んだクラブだと思うんですよね。クラブとして向上する、前進する。全体としてそういう気持ちを持って同じベクトルを向いたときにタイトルは獲れるんじゃないかなと思っています。
これは先日のエルゴラッソの監督インタビュー企画で、「タイトルを獲るために重要なことは?」という質問に対して、鈴木淳監督が答えた内容。
昨日のマリノス戦の0-3という完敗により、2試合を残して予選突破の道が閉ざされてしまった今年のナビスコカップ。今年の、というか今年も。J1に上がって6回目の挑戦も、またしても悲惨な結果に終わってしまった、例年通りのナビスコ予選。
これは何故なのか?という疑問に対して考えを巡らせる前に、アルビレックス新潟がこれまでの歴史で、最も大きなものを成し遂げた時のことを思い出してみたい。
それは言うまでもなく、2003年。悲願だったJ1昇格を達成したあの年だ。
そう、J1昇格は「悲願」だった。選手も、スタッフも、フロントも、サポーターも、メディアも、誰もがみんなJ1昇格を渇望していた。その誰もが望む一つの大きな希望に向かって突き進む姿勢が、圧倒的な熱量を生み、それこそが2003年の大成功の原動力になった。
でも少なくともその3年前、反町監督が就任した時点で、そこまでの熱量はなかった。でも2003年にあれだけの勢いを手に入れたのは、間違いなくそこまでの3年間のプロセスで年々「J1昇格」という目標を掲げるだけの説得力を獲得してきたからだ。
2001年シーズン初頭に掲げた「J1昇格」の看板は、前年の散々な成績と未知数でしかない反町監督の就任で、素直に頷ける人の方が少なかったと思う。
2002年シーズン初頭に掲げた「J1昇格」の看板は、最後まで昇格争いに絡んだ01年の実績と、悔しすぎる京都戦の敗戦の記憶で、前年よりも明らかに鮮明な目標として人々に受け入れられた。
そして2003年シーズン初頭に掲げた「J1昇格」の看板は、01年以上のエキサイティングな昇格争いを演じた前年の記憶、そして何より昇格の希望を託した43節長居での0-3の完敗というあの記憶があったからこそ、誰もが全力で頷いたはずだ。今年こそ、夢を叶える年だと。このチームは間違いなくその夢を達成するに足り得るチームであるという確信を持って。
翻って、09年シーズン当初に田村社長が掲げた「何らかのタイトルを取りたい」という看板。これを聞いてあなたは何を思っただろうか?素直に頷けただろうか?
その答え、多くの人は「ノー」だったと思う。欲しいとは当然思っていても、「でもねえ・・・」って懐疑心がどこかにあったんじゃないだろうか。
もちろん、そうじゃない人もたくさんいるはず。このチームの可能性を信じて疑わない熱心な人たちもたくさんいる。でも、圧倒的大多数が「イエス!!」と答える状況にならない限りは、タイトルからは縁遠いままだと思う。
J1残留がまず大事なのであって、それが何よりの目標だって人も多くいるだろうし、それは間違いなく正しいと思う。J1に残留するということの尊さを、08年に散々思い知らされたこのチームにとっては尚更だ。
ただ、このチームがまだろくな可能性を持ってなかった頃から、ずっとこのチームの中心にいて、ずっとこのクラブが成長するプロセスを見続けてきた寺川能人が、去年チームを去る時に残してくれた
「もう少し上を目指してやっていかないといけないチーム。残留が決まって、毎年ホッとしてるのではさびしいので、来年からは、皆もっとやってくれると思います。」
という言葉の意味はしっかり噛みしめる必要があると思う。
このチームはフロントが財布の紐をゆるめて、目標達成のために状況を一気に好転させてしまうようなスーパーな選手を獲得してくるなんてことは到底無理だ。だから、武器は熱量しかない。選手・スタッフだけ、フロントだけ、サポーターだけ、メディアだけじゃ手に入らない熱量を獲得するしかないんだと思う。
じゃあその為に今、何が出来るか。これはあまりに多過ぎてここでは列記しきれないし、今これを読んでる皆さんがそれぞれの回答を持っているだろうし、それは恐らくすべて正しいんだと思う。
(個人的には、清水戦の試合後の監督インタビューで、ナビスコ予選突破のための試合が目前に迫っているのに「中断期間はどう使いますか?」とか質問しちゃうメディアはダメ過ぎると思うwww頼むよ!!!)
ただ今確実に言えるのは二つ。
一つは昨日の試合の悔しさを忘れないことだ。昨日の見るも無残な0-3の大惨敗。目標達成の可能性を失った試合という意味では、同じく0-3で完敗した02年43節の長居スタジアムでのあの敗戦と等価値だって言えると思う。
きっと、ここを読んで「あの試合と同列に並べるなよ」って思う読者の方が少なからずいると思う。でも、きっとそう思った人たちの、こういう敗戦に対する思いや評価を、よりあの長居での試合のそれに近づけていくプロセスこそが、このチームが次なる目標を達成するためのヒントになるんじゃないだろうかと思うのだけど、いかがだろうか?
そしてもう一つ。そしてこれが最も重要なところ。
それは、このチームが「タイトルを獲る」って目標に対しての説得力を実力で勝ち取るって事。前述の通り、03年のあの成功はそれまでの2年間、チームの実力を、可能性を、ずっと誇示し続けたからこそ手に入れたもの。
だとすれば、「タイトルを獲る」という次なる目標達成に向けて必要不可欠なのは、アルビレックス新潟というチームが、サポーターやメディアに対して説得力を持たせるだけのクオリティを示し続けることだ。そしてフロントが何の迷いもなく、「タイトルを獲る」という看板を大々的に掲げられる状況を作ることだ。
少なくとも、13節を終えて3位であるという実績だけでは、全くその説得力に欠けるということは分かった。だってそれが説得力を持っているのならば、昨日の惨敗後に、19000人が詰め掛けたあのスタジアムが牧歌的な雰囲気になるなんてことはあり得ないからだ。
だから今年やるべきは、出来るだけタイトルに近づく成績を収めることに尽きると思う。それが「タイトルを獲る」という目標に向けて、どれだけの説得力になるかはわからない。だけど、過去最高のスタートを切れた今年こそ、そのチャンスだ。
過去最高順位の6位を超えるでも、過去最高勝ち点の51を超えるでも、ACL出場を勝ち取るでも、天皇杯を獲るでも、何でもいい。今このチームがやるべきは、このチームの真価を全ての人に見せつけ、自分たちの価値を理解させることだと思う。まだまだ足りない。こんな成績じゃ大多数の人たちに希望を持たせるには足りないんだ。誰もが貪欲だった03年のあの熱量を手に入れるには、まだまだ足りないんだ。
だから今こそ言いたい。
闘え、新潟。僕たちが秘めている可能性は、まだまだこんなものじゃないはずだ。貪欲に、えげつなく、もっと上を目指していい。それだけは間違いないはずなんだ。
コメント
Nageeeeeee!
でも嫌いじゃないぜw
なげーけど、熱い文章だね!
もしかすると秋頃、おそらく僕達が息切れしそうになるだろう頃。
その頃にまた読みたい。
タタカエ ニイガタ
トウシヲ モヤセ
ジブンヲシンジテマヨワズユケヨ