【コラム】2010年 J1全チーム戦力分析 vol.3

さーて東京から南下していくと神奈川の前に千葉だよな・・・と思った途端「あ、今年いねーんだ」と思い出す、そんな時期ですね。
J1の過酷な争いに身を投じる前に、今日も相手を知っていきましょう。

【川崎フロンターレ】 監督:高畠勉

主なIN
稲本潤一(レンヌ)
小宮山尊信(横浜FM)
佐原秀樹(F東京:レンタル終了)
 
主なOUT
吉原慎也(柏)
村上和弘(大宮)
久木野聡(横浜FC)
養父雄仁(甲府)
山岸智(広島)

 
言うまでもなく、今年の開幕戦の相手ですね。皆さん今から、物凄い勢いで開幕戦勝利をシミュレートしてるかと思います。もちろん、俺もそうです。
 
まず何と言っても監督の交代。川崎をJ1屈指の強豪にまで育て上げた関塚監督が退任し、高畠コーチがそのまま監督へ昇格する事になりました。ただ、高畠監督は08年には関塚監督の病気療養中に監督を務め、周囲の心配をよそにこれまでの川崎とほとんど変わらないサッカーを展開していたので、今年も大きな変更も大きな戦力ダウンもなく、これまでの路線で戦えるでしょう。
 
補強に目を向けると、まず主力は全員残留。そして待望の左サイドバックに小宮山を補強することに成功。村上を大宮に出したのは痛手でしょうが、それを補って余りある補強といっていいんじゃないでしょうか。川崎のサイドバックに求められるのは、カウンター時にどれだけ前方への推進力を出していけるか、だと思いますが(森勇介はこれが出来るから川崎で絶対的な存在なんでしょう。色々とアレだけどww)、この点では小宮山はうってつけだと思います。彼が好調時に見せる圧倒的な存在感をコンスタントに出せれば、もしかすると川崎が打ち破れない最後の壁を破る力になるかもしれません。
 
そして稲本。まー今年のオフシーズンで一番の話題でしょうかね。彼は守備型としても攻撃型としても使えるボランチなので、谷口と組むか、横山と組むかで役割が変わってくるんだと思います。
ただ、高原のケースでもそうですが、やっぱりどんなカテゴリーにいたとしてもサッカー選手にとって「試合に出続ける」という事は非常に重要な事で、試合勘を失っている彼がどのくらいでフィットするのか。
代表のガーナ戦では途中出場して逆転劇の立役者となった彼ですが、それはあくまで1試合の数分間で事。ACLを含めて次から次へと試合がやってくる環境の中で、それほど彼が影響力を与えることが出来るかは、ちょっと見てみないとわからないでしょうね。
個人的には、去年の川崎の大きな原動力の一つは、去年台頭した守備の二人=CB菊池と守備的ボランチの横山だと思ってるので、横山、谷口、稲本の3人のボランチの定位置争いは、中々見ものだと思います。
 
まあ、どんな補強をしようが、攻撃のメンツが去年までと変わってない事を考えれば、今年も川崎の最大の武器は電光石火のカウンターとサイドアタックなのは間違いないでしょう。開幕戦は相手のカウンターをどういなして、逆にこっちがどうやってクロスカウンターで一発を食らわせるか、って展開になると思います。絶対に勝ちましょう。
 
 
 
【横浜F・マリノス】 監督:木村和司

主なIN
バスティアニーニ(ボカ・ウニダス)
波戸康広(大宮)
藤田優人(東京V)
 
主なOUT
ハーフナー・マイク(甲府)
小宮山尊信(川崎)
キム・クナン(山形)

 
ここはもうなんといっても木村和司監督の手腕が全てを左右するでしょう。サッカーのプロチームではコーチの経験もない木村氏がどういうサッカーをするのか。それはま~~ったく分かりませんので、書きようもありませんw
 
まあ、コーチに控えてるのが樋口靖洋氏なので、その経験がある分とんでもないことにはならないでしょう。でも木村氏が途中降板したりした場合、樋口氏が昇格してくる・・・ってシナリオは、山形、大宮、横浜FC時代にやってた樋口氏のサッカーの内容を考えると、マリノスサポーターとしては背筋が寒くなるんじゃないでしょうか。他サポとしては超ウェルカムですけどね。
 
もっとも、守備陣は小宮山(一応キムも)が移籍した以外は主要メンバーがほぼ残ったし、後述しますけど小宮山の穴を埋める補強に関してはなかなかだと思うので、誰が監督やっても一定の堅さを見せるマリノスの守備は今年も健在だと考えていいでしょう。松田、中澤、栗原、小椋、河合。このメンバーがいて崩れることは考えにくいはずです。早野時代も、桑原時代も、コーキチ時代も平気だったんだから、絶対に平気です。
 
今年の補強を見ると、攻撃陣ではアルゼンチンからバスティアニーニを獲得。マリノスのアルゼンチン人って聞くとなんかわくわくしてきませんか?彼の詳細については全く分かりませんが、本人いわく「私は自分のパワーをもって、ペナルティー・エリア内で戦える、常にゴールを狙うタイプのFWです。」なんだそうです。ちなみに動画はこちら
http://www.youtube.com/watch?v=7P7QJHOGz40
 
これだけでは何とも言えませんが、彼が前線で起点になってくれる選手だとチームにとっては大きいでしょう。というのも、渡邉千真という選手は世間一般のイメージやこれまで起用法からいって、最前線で体を張るポストプレイヤータイプだと見なされていますけど、個人的には彼はその役割をこなしてくれる選手と組むことで最大の魅力を発揮する選手だと思っているからなんです。
彼はとにかくシューターとしての能力が尋常じゃないくらい高く(シュートの精度も威力も素晴らしいと思います)、シュートを打つことから逆算したストライカームーヴをすることが出来る選手。点を獲ることに専念したら日本代表も余裕で見えてくると思います。
 
それとサイドバックに波戸が復帰し、ヴェルディから藤田が加入。藤田はいい選手だと思います。水戸から引き抜いた小椋くらいのブレイクもありえるんじゃないでしょうか。
これで小宮山が抜けた左にそのまま波戸を持ってくることも出来るし、左に田中裕介を回して右に藤田を持ってくることも可能、って事で小宮山の抜けた穴は中々うまく補えたんじゃないでしょうか。
 
 
 
【湘南ベルマーレ】 監督:反町康治

主なIN
中山元気(札幌)
新居辰基(千葉)
小澤雄希(水戸)
松尾直人(新潟)
馬場賢治(神戸)
 
主なOUT
鎌田翔雅(千葉)
菊池大介(草津)
原竜太(引退)

 
何と言うかまあ実にソリさんらしい、最後に過剰にドラマティックかつお腹が痛くなる昇格レースを制してついに昇格。11年ぶりだそうですよ。11年って赤ちゃんが小5になる期間ですよ。すげー。
 
実は今年、ピンポイントで「あーなるほどねー!」ってひざを思わず打っちゃうような補強をしたチームのひとつが、このチーム。中々いい補強だったと思います。
 
では早速詳細を見ていくと、去年ずっとメンバーが定まらず、いろんな選手を回して凌いできた左サイドバックに、言わずもがなの松尾直人と、そして個人的に凄く好きな選手である小澤を水戸から補強。この小澤という選手、ちょっと注目ですよ。J1に引っ張られたのも納得です。
これで、右の臼井、左のこの二人の争い、ってことになるんでしょうけど、このメンツは中々強烈だと思います。それに松尾は右もセンターも、あと層が薄いボランチも出来るので、非常にいい補強じゃないでしょうか。何で新潟が獲らなかったんだろう。・・・あれ?
 
そして田原のスペアがいなかったセンターフォワードに中山元気。反町電柱列伝にまた新しい名前がひとつ刻まれます。歴代の中では最も不器用な選手の部類に入ると思いますが、ターゲットとしては悪くないでしょう。
 
また、坂本、テラ、アジエル、中村のポジションならどこでもこなせる馬場の獲得も実はかなり大きいと思います。彼は個人的にかなり過小評価されている選手だと思ってるんですけど、こうやって大役を任された事でどれほど成長できるか。そして彼がスタメンにどれだけ影響を与えられるかが、湘南のJ1残留に結構大きな影響を与えるんじゃないでしょうか。
去年の後半戦に苦しんだ大きな理由が、スタメンとベンチの差が非常に大きく層が薄かったというところ。新居もそうですけど、新加入組がこれを解決することが出来るか。
 
ただ、やはり心配は仙台同様、守備の面。湘南は決して優れた守備力を武器にJ1に上がってきたチームではないし、J1を熟知してる守備の選手というとジャーンと野澤くらい。
それに田村の控えが見当たらないということを考えると、彼にトラブルがあった場合、致命的な影響を受ける可能性が大いにあるでしょう。だから、大分の菊地を獲得に動いたというのも、すごくよく分かるというものです。
 
このあたりはJ1での生存競争を存分に知っている反町監督の腕の見せ所でしょうね。駒数は決して多くないし、J1レベルでどこまで通用するかも分かりませんが、大胆なシステム変更・戦術の組みなおしを含めて、なりふり構わず残留を目指してくるでしょう。
だってチームにとっては11年ぶりのJ1の舞台を守る戦いであるし、同時に反町監督にとっても、本当の意味での忌まわしき記憶に対するリベンジの場になるはずですからね。

コメント

  1. 匿名 より:

    稲本加入で、田坂の出番が減るのは勿体無いなぁ。
    去年終盤のアウェイ川崎戦で、いい選手だなぁと思いました。

  2. hama より:

    俺も田坂すき。
    谷口よりよかったきがする。

    あの試合だけかもだけど。